つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
ダークエンターテインメントみたいなジャンルがめちゃくちゃ好きです。配信サイトで見ているとマッチ度が出ますよね。俺これ99%でした。
売れていない漫画家が家のスケッチをしていると、中から爆音の音楽が流れてくる。隣の家の住人から注意しろと言われて中に入ると、一家4人が惨殺されている。その漫画家は警察の事情聴取で犯人の顔を見ていないとうそをつくんですよ。なんでここで見ていないって言うか分かります? このリアルな殺害現場を絵に描いたら、漫画家として売れると思ったからです。
芸人をやっていると、飲みに行ったり遊んだりすることでリアルさを求めて、そこから生まれるものもある。単純に漫才やってますよだけじゃ通じなかったりするので。漫画家の気持ちがよく分かりました。
もし自分が漫画家で同じ状況だったら、俺も犯人を見たことは言わないかもしれないですね。もしこれで絵を描けるって思うんだったら言わないですよ。それで物語を作りたい。それを善とするか悪とするかですけどね。
今取材を受けながら絵を描いてみましたけど、左上の目は漫画家。誰にも言えないみたいなことを英語で言っています。右下の黒いのは殺人鬼。4人家族を殺すので人も4人描きました。
この映画のように、人があまり見ないようにすることが実は真実だったりするわけで、そこをみんな当たり障りなく生きている気がする。俺はそういう真実を見るべきだと思うんです。
(聞き手・齊藤梨佳)
監督=永井聡
脚本=長崎尚志、川原杏奈ほか 出演=菅田将暉、Fukase、高畑充希、中村獅童、小栗旬ほか
くぼた・かずのぶ 2002年に村田秀亮と「とろサーモン」結成。「M―1グランプリ2017」優勝。YouTubeチャンネルで動画を配信中。
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