つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
舞台は1980年代の北イタリア。17歳のエリオと24歳のオリバーが情熱的な恋に落ちるひと夏のラブストーリーです。人物描写、イタリアの風景や建物、インテリアなどどれも素敵で、全編を通してキラキラしていましたね。上映された頃ちょうどミラノに滞在していたので、自分の生活とリンクするような思い出深い作品です。
オープニングでピアノの音楽に合わせて彫刻の写真がスライドされるのですが、その時点で「全部見たい!」と思わされ、ぐっとつかまれます。家族や友達が集って庭のテーブルを囲んで食事をするシーンが何回か出てくるのですが、そこも好きですね。ヨーロッパっぽくてあこがれます。
エリオを演じたティモシー・シャラメが魅力的で、あの頃の彼を撮っておいてくれてよかったなあと(笑)。性の認識がまだあいまいな思春期。オリバーのそばにいて何かもやもやする葛藤の寸前、好奇心が混ざっている感じを長めに撮る映画ならではの表現方法に感動しました。
英語のタイトル「Call me by your name」のほうがしっくりくるんですが、好きな人のことを自分の名前で呼ぶなんて考えたこともなかった。でも何かを隠さなきゃいけないとか、いとしい対象を独占したい感覚だったりとか、原作者や監督が意図することが込められている気がして素晴らしいと思いました。
2人の横顔が美しかったので、右にエリオ、左にオリバーの鼻筋、上下に家の中ですれ違う際に印象的な扉を抽象画にしました。背景はキラキラしたイタリアの風景です。
(聞き手・片山知愛)
監 督=ルカ・グァダニーノ
原 作=アンドレ・アシマン
出 演=アーミー・ハマー、ティモシー・シャラメほか おかもと・なほ
2006年、ジュエリーブランドSIRI SIRIを始動。ガラスや籐などの素材を用いて制作。スイスを拠点に活動を行う。 |