つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「ほんだし」のテレビCMを田中麗奈さんと樹木希林さんが親子の設定で何本もやっていたんですよね。そのCMの企画が発展したのがこの映画。公開当時に見てから、もう20年以上経っているんですけど、自分のなかで大事な作品というか、愛らしい作品です。
田中麗奈さん演じる主人公の酒井エリコがタムラという男性と出会って、引かれていくんだけれど、タムラには海外に留学中の彼女がいる。それで「1年でいいから付き合って」ってお願いして期間限定の恋愛になっていくんですが、だんだんつらい気持ちになっていっちゃうというお話。林真理子さんの短編小説をもとにしています。
僕、市川準監督の映画作品がすごく好きで。ちょっとした街の風景や市井の人々を優しい視座で切り取って、点描のように積み重ねている。それによって、なんてことない風景がきれいなんだ、みんな生きてるんだって思えるというか。
映画では東京を映して欲しいというのが僕の希望。例えば渋谷っていう街は、スクランブル交差点を歩いてみたいと思う人が世界中にいるのに、じゃあなんで渋谷を代表する映画が無いのかっていったら、撮影許可のハードルが高いからなんですよ。でも何本かの映画が果敢に渋谷を映していて、この映画にも渋谷の「Egg-man」っていうライブハウスが映る。渋谷も今はどんどんビルが建っていて風景が変わっているから、映画がタイムカプセルになっているんですよね。イラストに描いたのは作中で流れるCMに「野球小町」姿で出演したエリコです。
(聞き手・宮嶋麻里子)
監督・脚本=市川準
脚 本=林真理子
出 演=田中麗奈、小澤征悦、樹木希林、寺尾聰、斉藤陽一郎、石田ひかりほか いのうえ・さんた 1968年生まれ。
代表作に「TOKYO TRIBE」「隣人13号」など。「惨家」「モテ助」を連載中。 |