つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
韓国のソウル市内を流れる漢江を舞台に、謎の怪物グエムルが逃げ惑う人に次々襲いかかるモンスターパニック映画です。映像を作る上での演出とストーリーのエンターテインメント性がすばらしくて、僕の中で100点以上の作品。子供の頃に見ていた怪獣映画とは全然違う視点で作られていて、度肝を抜かれましたね。
主人公のカンドゥの娘、ヒョンソがグエムルに捕らわれたときは「ああもう助からない」と家族全員が絶望したけれど、携帯電話に娘から助けを求める電話がかかってきて「生きている」という希望に変わった。一回上げてまた落とされるシーンが多々あり、ジェットコースターに乗ったみたいにハラハラしっぱなしでした。
娘が生きていることを政府や軍隊は信じてくれないので、家族が一丸となって戦い、結果倒すんです。グエムルの大きさも興味深かったですね。大きいけれど家族4人なら「やっつけられるかも」っていうサイズ感。「倒せるの? どっちなの?」って見ているこちらはまたハラハラする。
最終的に、娘が助けた少年をカンドゥが引き取る。少年とテレビを見ながら食事をする風景は、本当の家族のようで胸を打たれました。ちゃんとした家族の物語だなって。僕も家族を持ったからそう思うのかもしれない。
映画のポスターにも使われているシーンで、娘の背後に迫るグエムルをピンぼけにした演出が好きで、赤ずきんちゃんとオオカミで表現しました。僕が作るとどうしてもかわいくなってしまうんです。
(聞き手・片山知愛)
監督・原案=ポン・ジュノ
撮 影=キム・ヒョング
製作国=韓国 主 演=ソン・ガンホ、コ・アソン、ペ・ドゥナほか たけうち・たいじん キラメキ所属のコマドリスト。
NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」のオープニング映像など作品多数。 |