秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
日本から一人やって来たサチエが、フィンランドのヘルシンキに開いた「かもめ食堂」での日々を描いた物語です。疲れていたり、逆にちょっと元気がありすぎたり、平熱の自分を取り戻したいと感じた時に、繰り返し見ています。自分を「整える」ことのできる映画です。
食堂のお客はなかなか増えず、サチエの置かれた状況は厳しいはずなのですが、あまり悲壮感は感じられません。彼女は料理に対しても、人生に対しても実直でぶれない。真面目にやっていればいずれはうまくいく、という姿勢が安心感を与えるからなのだと感じます。演じる小林聡美さんの「いらっしゃい」が、とても好きですね。
ストーリーだけでなく、風景描写も素晴らしい。窓から差し込む光、グラスの水を通って落ちる光が、鍋や机にあたる様など、日常の中にある何げないものの美しさに気づかされます。そこが「整う」理由なのかもしれません。
フィンランドの定番シナモンロールや、おにぎりなど、食べ物もたくさん出てきます。特にサチエが作る唐揚げが本当においしそうで、おかげで私の「唐揚げ熱」も高まりました。いま、京都で舞妓(まいこ)さんの「まかない」を作る女の子が主人公の漫画を連載しているのですが、唐揚げは、その中でも何度も登場させています。
料理を作品に描く時は、できるだけ自分でも作ってみるんです。調理して実物を目の前にした時の記憶や感覚が、絵の線にも影響するのでは、と思って。温かさや味が、読者にも伝わっていたらうれしいです。
(聞き手・渡辺鮎美)
脚本・監督=荻上直子
原作=群ようこ
出演=小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・ニエミほか こやま・あいこ
青森県生まれ。2001年デビュー。「舞妓さんちのまかないさん」(16巻発売中)は、NHKワールドJAPANでアニメ化され現在放送中。 |