「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
1864年にフランスのSF作家ジュール・ベルヌが発表した「地底旅行」が原作で、小学生の頃、テレビで見ました。映画といえば、当時の私にとってはテレビ映画でした。
地質学者とその教え子、功績を横取りしようとした学者に先立たれた妻、ガイド役の青年と彼が連れてきたアヒルの一行が、未知の地底世界を冒険します。道中、新たなライバルが出現したり、恐竜のような生物に襲われそうになったりしながら、危険な崖や鍾乳洞、巨大なきのこの森などを通過し、伝説の島の都の廃虚を発見します。
制作当時では最先端のSF映画だったのでしょうが、本物のトカゲにヒレのような物をつけて恐竜として登場させたり、背景が絵だったりとCGが当たり前の現在では、当然古めかしい。でも、大人になっても楽しく鑑賞できました。
絵は、印象的なシーンをまとめて、本の挿絵風に描きました。たどり着いた未知の世界の先には、更なる未知の世界が続きます。隅にいるアヒルは、他の登場人物の名前は全く覚えていないのに、なぜか名前がスッと出てきました。「ガートルード」です。
当時のSF映画では「ミクロの決死圏」も好きでした。こちらは人体内部を冒険しますが、物事というのは、実際にそれを実行出来なくても想像してみることが大切だと教えてもらったように思います。そして、同じSFでも、人気だった宇宙より地底や人体内部を好んだあたりが、ミュージシャンとしてベースという楽器を選んだ今につながっているのかもしれません。
(聞き手・隈部恵)
監督=ヘンリー・レビン
脚本=ウォルター・ライシュ、チャールズ・ブラケット
制作=米 出演=ジェームズ・メイソンほか なかじょう・たかし
1965年神奈川県生まれ。バンド「シアターブルック」「COUCH」「ブルーズ・ザ・ブッチャー」のメンバー。 |