秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
両手がはさみになっている人造人間が主人公なので、最初はびっくりしました。丘の上の屋敷で孤独に暮らす彼が、ふもとの街で人気者に。そのきっかけを作った化粧品セールスの女性は、彼を自宅に招き入れるなど、世話好きで優しい。でも街には意地悪な人も。それぞれ人間味があって、現実とかけ離れた物語設定なのに、すっと入っていけました。
いつも困ったような顔の彼は、不器用だけど純粋。応援したくなります。はさみを巧みに使って、庭の木や人々の髪をカットする場面も面白い。化粧品セールスの女性の娘との恋も交えて切ない展開に進みますが、報われなくても純粋な思いがあると感じられます。もともとラブストーリーはあまり見ませんが、主人公の思いに共感しました。
ティム・バートン監督の世界観も印象的です。主人公の屋敷は暗い雰囲気ですが、人々が暮らす家々はカラフルなパステルカラー。色を用いた対比が絵画のようで、幻想的な雰囲気が引き立ちます。中でも、物語の最初と最後、夜に雪が降るシーンがおとぎ話のようで心に焼き付いています。
(聞き手・木谷恵吏)
監督=ティム・バートン
製作=米
出演=ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダーほか あらい・まき
1965年生まれ。昆虫などの細密画家・熊田千佳慕に師事。「たんぽぽ」で「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」入賞。近刊に「チューリップ」。 |