RYOOOOOJ!さん(イラストレーター)
「すばらしき世界」(2021年) イラストレーターのRYOOOOOJ!さんの心に残っている映画は「すばらしき世界」です。
「すばらしき世界」(2021年) イラストレーターのRYOOOOOJ!さんの心に残っている映画は「すばらしき世界」です。
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ベタベタの恋愛物語ではなく、2人の男女が出会うまでという描き方が、おしゃれ。また偶然と思える全ては、必然と思わせてくれる映画です。
ボストンの地下鉄が舞台。夜勤看護師のエリンと配管工のアランは、毎日、ワンダーランド駅行きの同じ路線に乗り、通勤していました。でも出会えそうで出会えない。アランは配管工をしつつ海洋生物学者を目指し、現状を変えようと能動的。失恋したばかりのエリンは、周囲の言葉に受動的で諦めモードなんです。
絵は、アランがボランティアで働く水族館をエリンが訪れた場面です。美しいエリンに見とれるアラン。対面しても目が合わず、すれ違う様子を描きました。
自分を幸せにできるのは自分だけと言い張るエリン。そんな娘を心配した母親が、新聞で娘の恋人募集を勝手に告知する。エリンにいい格好を見せる男性たちの姿が滑稽で。その後、行きずりの人についていこうとした日、アランと出会い揺れ動く。登場人物のセリフに度々出てくるのが、米詩人エマソンの「頑固さは狭量なる心の表れ」という言葉。エリンにとってどれが正解という事はなく、フレキシブルでいいのではと思えました。
専門学校を卒業した頃、この映画を見ました。進路を模索中でしたが、たまたま訪れた母校の学園祭で、校内の画廊を1カ月後に使えることが判明。初個展を開くと、仕事が舞い込んできたんです。それが絵描きの原点。偶然って恋愛だけじゃないんですよ。
聞き手・石井広子
監督・共同脚本=ブラッド・アンダーソン
製作=米
出演=ホープ・デイビス、アラン・ゲルファントほか つじ・けいこ
NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」のオープニングの貼り絵を手がけた。絵本「かげはどこ」、10月28日発売の書籍「月整活(つきせいかつ)」のイラストも。 |