秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
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パリ・モンマルトルのカフェで働くアメリは、幼い頃から空想の世界で遊ぶのが大好き。偶然自宅の壁穴からおもちゃの入った古い箱を見つけ、持ち主の中年男性の元へ返したり、うつ病気味の同僚と常連客をくっつけたり、ちょっとしたいたずらやおせっかいで他人を幸せにすることに喜びを感じていました。
ある日、駅構内の証明写真機の前で、アメリは不思議な青年ニノに出会います。彼の収集写真のアルバムを拾ったことから、ちょっぴり屈折した若い2人の恋が始まります。
彼女が悩んだときなど、サンマルタン運河で石を投げて水切りをするシーンが好きです。水面下に彼女の心が動いているようで、一生懸命生きようとしてるのが感じられる。内気なんだけど、心の中ではすごく冒険している彼女をイラストに描きたかったの。
部屋の壁に掛かったアヒルの絵がしゃべる場面や、アメリが落胆して水になって溶けてしまうところなど、監督がすごく楽しんで作っているのがわかります。ファンタジックだけど、ちゃんとリアリティーもあるから、登場人物の気持ちが伝わってくる。ストレスで湿疹が出ちゃうおばさんや、人の行動をいちいち録音して記録するおじさん、引きこもりの絵描きのおじいさんとか、みんな個性的で人間くさい。全ての人が人生いろいろありそうな気がするんです。みんなをあたたかい気持ちにさせる、とってもスイートな映画ですね。
聞き手・秦れんな
監督・共同脚本=ジャン・ピエール・ジュネ
製作=仏
出演=オドレイ・トトゥ、マチュー・カソビッツほか かどの・えいこ
1935年生まれ。2014年旭日小綬章受章。代表作に「魔女の宅急便」など。最新刊「トンネルの森 1945」(KADOKAWA)。 |