秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
|
1951年、米テキサス州の小さな町に暮らす男子高校生サニーとその親友デュエーンたちの青春物語です。2人には恋人がいて、町唯一の映画館でデートを楽しみながらも、どこか相手に物足りなさを感じていた。やがてサニーがデュエーンの彼女に好意を持ち始め、2人の友情に亀裂が入ります。キラキラした青春ではなく、少年たちの葛藤や田舎町特有の閉塞(へいそく)感など、人物の内面を淡々と描いています。
高校時代ってこれから嫌でも大人にならないといけない、青春の終わりかけの時期ですよね。そして「恋と友情はどちらが大切か」という答えの出ない問いに悩む年齢でもある。僕にも似たような経験があります。そんな戸惑いにラジオから聞こえてくるカントリー歌手ハンク・ウィリアムスの歌がよく似合う。子どもの頃に聞いた「ジャンバラヤ」が流れて来て、昔の自分と重なりました。
寂れた町にピューッと風が吹き荒れる冒頭のシーンなど、全体的に文学的で、どこか気だるい雰囲気が漂います。70年代の作品なのに、あえてモノクロで撮っているところもいいですね。
特にサニーとデュエーンがポンコツ車でメキシコまでドライブに行く場面が好きで、僕もまねしてドライブしたことがあったな。時間もかかるし、若いからこそできる旅。そんな場面を絵にしました。見終わった後、昔の自分に戻れる気がして、何度でも見たくなる作品です。
聞き手・永井美帆
監督・共同脚本=ピーター・ボグダノビッチ
製作=米
出演=ジェフ・ブリッジス、シビル・シェパードほか まきの・いさお
1964年生まれ。代表作に「かもめ食堂」(群ようこ著)の装丁など。12月18~23日、東京・原宿で個展。12月、初の画文集を刊行。 |