秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
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お人形のような小さい2人の姉妹を中心にした家族の物語です。日常を描いているのに現実離れしていて、絵本を見ているような世界なんです。レトロ感が少しあるカラフルな色彩で、独特の雰囲気を作り出しています。映画が作られたフィンランドに行ったとき、映像と同じ空気を感じました。
小学校入学目前のお姉ちゃんのヘイフラワーは家事を手伝ったり、わがままな妹のキルトシューの世話をしたりと頑張っているのに両親にわかってもらえない。愛情はあるけれど、お父さんはおイモの研究、お母さんは仕事を得ることで頭がいっぱいなんです。
両親がもっと妹をかわいがりますようにとか、家事の苦手なお母さんが作ったパンがうまく膨らみますようにって、お姉ちゃんはすぐお祈りをするんです。そのけなげさに見るたびに泣けてきてしまって、私の一番好きなシーンです。
いつも妹を勝たせてあげるお姉ちゃんだけど、ズルして駆けっこで勝った妹と、「お姉ちゃんでしょ」とまったく取り合わない両親に怒って口をきかなくなります。仲直りした妹とブランコで寄り添って眠っている場面もまるで一枚の絵のようでした。
普段から、雑誌や映画のかわいいものを記憶して絵を描くときの材料にしています。この映画は、インテリアや小物など細部にいたるまでかわいさにあふれていて、そのイメージをイラストで表現しました。
聞き手・土田ゆかり
監督・共同脚本=カイサ・ラスティモ
製作=フィンランド
出演=カトリーナ・タビ、ティルダ・キアンレトほか きたみ・ようこ
神奈川県出身。近著の「マッチ箱のカーニャ」(白泉社)は、2015年ボローニャ国際絵本原画展入選。ほか、多くの絵本を手がける。 |