新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
モーリス・ド・ヴラマンク(1876~1958)と言えば、重厚な色調で描かれた雪景色や田舎の風景を思い出す人が多いだろう。25年、仏・パリ近郊からシャルトル北西部へ移り住んだヴラマンクは、田舎の風景を数多く描いた。本作は、その時期の代表作の一つ。
道路の積雪には車が走り抜けたような跡が残り、表情豊かな筆触が印象的だ。「彼は車で町中を走るのが好きで、車中から眺めた景色を描いた。そのため画面に疾走感があります」と学芸員の湯浅英雄さん。
この頃の作品は「叙情的」と評され、空の色は暗く悲壮感がある。落ち着いた色彩の中で、雲や雪を表す白の存在感が力強い。この白はヴラマンク絵画のアイデンティティーの一つといえる。