「なごみの米屋」のぴーなっつ最中 地元・千葉の名産、落花生が練り込まれたあんが詰まっていて、食べると地元で過ごした時間を思い出します。
物心ついた頃から伝統を重んじ、手間暇かけて食べる菓子が好みで、色々なスコーンを食べていくうちに最高峰のこのスコーンに行き着きました。味わいに際立った上品さがあり別格。さすがは1707年にイギリス・ロンドンで創業した王室御用達ブランドです。しっとりめな生地の、このスコーンを、横にナイフを入れて二つに割り、クロテッドクリームをたっぷり塗った上にイチゴジャムをのせます。英国式紅茶文化の伝統の中の菓子なので、飲み物はもちろん紅茶です。アッサム系の茶葉が合います。
執筆や講演活動の合間などで余裕のある時、紅茶を丁寧に入れ、このスコーンを食べます。リラックスするひと時であると同時に、優雅なだけではない世界史数百年に思いをはせる時間でもあります。
15年以上黒人音楽専門誌の編集者だったことでアメリカンカルチャー好きのイメージを持たれることが多いのですが、ブリティッシュ文化が好きです。差し入れでもらうことのあるアメリカ式スコーンはクリームもジャムも要らないほど甘くて、英国の伝統のスコーンとは似ても似つかぬ別物ですね。
スコーンにつけるジャムはイチゴが王道とされていますが、マーマレードを選ぶ時も。「英国の伝統」一本やりとも言えない私です。
(聞き手・隈部恵)
◆日本橋三越本店、札幌三越、広島三越、福岡三越で限定販売。プレーンなど全4種(札幌三越は2種)。
問い合わせは0120・860・816(平日、午前9時半~午後5時)。
1個税抜き260円。
まるや・きゅうべえ 文筆家、万物評論家、講演家。京都市生まれ。
「SFマガジン」「サイゾー」などで連載中。訳書に「ゲットーに咲くバラ:2パック詩集(新訳版)」(PARCO出版)のほか著書多数。映画評論家の町山智浩氏との有料YouTube番組「月刊丸屋町山」は3月5日配信予定。