「なごみの米屋」のぴーなっつ最中 地元・千葉の名産、落花生が練り込まれたあんが詰まっていて、食べると地元で過ごした時間を思い出します。
フリーのカメラマンになりたての頃、母が手作りの料理と一緒に、カットした状態で売られているゴンドラのパウンドケーキを持ってきてくれたんです。一口食べた瞬間に「これはうまい!」と思いましたね。おいしいだけじゃなくて体をやさしく包み込むような、食べもので幸せを感じられるってこういうことなんだなと衝撃を受けました。
どうやってこの味を作っているのか知りたくなって店に行ってみたら、ご主人の細内さんが代々家族経営されているお店で、店全体の空気もやさしくてね。一人で仕事をする厳しさを実感していた時期だったから、余計心にしみたのかもしれないですね。
それ以来26年間通い続けているこの店のファン。近くを通ったら必ず買って、家まで待てずに車内で食べることもあるし、長年連載を持っている編集部への手土産にするのも恒例となっています。
缶入りのホールを買ったときは、ひっくり返してラムレーズンが敷き詰められている裏側を見るのが好きなんです。日が経つとラム酒がスポンジにだんだんとしみて味が変わるのもいいんですよ。でも家族3人で分けると娘がでかくカットしちゃうから、いつも2日ぐらいでなくなっちゃうんですけどね。
◆東京都千代田区九段南3の7の8(問い合わせは03・3265・2761)。
カット300円、ホール5号(直径約15センチ)2500円。
午前9時半~午後6時半([土]は6時)、[日][祝]休み。
電話で発送注文可。
あべ・さとる 写真家。
弁当と持ち主の撮影をライフワークとする。NHK総合「サラメシ」に「お弁当ハンター」として出演中。近著に「東京商店夫婦」(交通新聞社、妻・直美さんと共著)がある。