森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
強い風が吹いて新緑の木々が揺れる。群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」正面入り口を進むと、左手に細い線が交差したようなオブジェが見えた。県立近代美術館の一辺36メートルほどの人工池に近づくと、台座に固定された28本のステンレスワイヤが、縦横無尽にゆるやかな円弧を描いている。風が吹く度に無数の弧が揺れ、四方を回ると曲線の重なり方が変わる。水面とワイヤに太陽が反射して、きらめく光の線が飛び交うようだ。
作者は彫刻家の宮脇愛子(1929~2014)。真鍮パイプやガラス板を積み重ねた立体作品や、1970年代末から手がけたワイヤを空間に張りめぐらす「うつろひ」シリーズが知られる。何度か同美術館の展覧会を訪れていた宮脇に、中山公男館長(当時)が依頼し、92年に設置された。
同館学芸員の田中龍也さん(48)は、「表現したのは、ワイヤを介した風の動きや反射する光。木々の緑や風、光を取り込んで、周囲の環境によって様々な表情を見せます」と話す。週4回公園を散歩するという同市在住の田中昭史さん(89)は、「曲線に光が当たって、しなやかな噴水が何本もふき出しているよう。また見たくなります」。夕暮れ時、ワイヤは夕日に照らされ、黄金色に輝いた。冬に吹くからっ風、夏の深緑など、刻々と移ろう自然や時間の一瞬の変化を教えてくれる。
(上江洲仁美)
群馬の森 26ヘクタールほどの敷地内には、群馬県立近代美術館や県立歴史博物館、全国の都道府県の木を集めた「ふるさとの道」などがあり、週末は多くの家族連れが訪れる。 《アクセス》 高崎駅からバスで約30分。 |
作品から徒歩6分。麺処 彼方此方(問い合わせは027・346・6922)では、麺に絡まるピリ辛のカレーにトマトの酸味が爽やかな「とまとちーずカレー」(写真、そば1070円、うどん970円)や、だしの利いた「冷しダシそば」(780円)が人気だ。
高崎駅西口からバスで20分の慈眼院(問い合わせは322・2269)には、高さ41.8メートルの高崎白衣大観音がそびえる。観音像の肩の高さまで登ると、高崎市街地や関東平野などを一望できる。胎内拝観料300円。