森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
東京から北陸新幹線と特急列車を乗り継ぎ、JR福井駅へ。西口から足を踏み出すと、全長約10メートル、高さ約6メートルの草食恐竜フクイティタンが現れた。その視線の先には、肉食のフクイラプトル(全長4・2メートル)が、今まさに草食のフクイサウルス(全長4・7メートル)に襲いかかろうと、うなり声を上げている。約2億3千万年前から6600万年前まで地球上に君臨していた恐竜の世界が、現代によみがえったかのようだ。
国内随一の化石発掘量を誇る福井県。「恐竜王国福井」をPRするため、2015年3月、北陸新幹線長野―金沢間の開業に伴い、駅前に「恐竜広場」を設置した。県立恐竜博物館監修の下、福井で発見された新種5種のうち3種を実物大のモニュメントで再現。3体は頭や体を動かしたり、鳴き声を上げたりする仕掛けだ。駅舎壁面には、県内に生息していた10種の生物を描いた巨大ラッピング(縦10×横45メートル)や恐竜のトリックアートを施すなど、恐竜一色で県内外の行き交う人々を迎えている。
「化石の発掘や研究の拠点は勝山市ですが、福井の玄関口に広場を設けたことで、恐竜に対する県民全体の愛着が深まったと感じます」と、県のブランド営業課課長・岩佐浩之さん(53)。5歳と3歳の息子と広場を訪れていた西畑和代さん(42)は「長男が幼稚園の遠足で博物館に行ったばかり。すっかり恐竜好きです」と笑顔を見せた。
(井本久美)
恐竜広場 恐竜モニュメントは、午前9時~午後9時の毎時0分、30分に稼働。日没後~午後10時は駅舎のラッピングと共にライトアップされる。 |
JR福井駅、西口の駅舎壁面に描かれた恐竜トリックアートは、フクイラプトルとフクイサウルスをイメージしたオリジナル作品=写真=を含む2面。大きさは各縦4.6×横7.3メートル。
駅から徒歩6分。1945年創業の藤の屋文具店(問い合わせは0776・23・5522)の越前和紙を使ったオリジナルのペーパークラフトキットは、お土産にぴったり。恐竜は17種、初心者向けのフクイサウルス(500円)や中難度のティラノサウルス(900円)など。午前10時~午後6時半。(日)休み。