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アートリップ

The Secret Pond(秘密の池) 
ルーディ・キスラー作(長崎県・福江島)

浮き出る鯉や蓮の花

屋上は2300平方メートルで、蓮の葉は直径5メートル、鯉は全長20メートル。人が立つと絵の大きさがよく分かる=安達麻里子撮影
屋上は2300平方メートルで、蓮の葉は直径5メートル、鯉は全長20メートル。人が立つと絵の大きさがよく分かる=安達麻里子撮影
屋上は2300平方メートルで、蓮の葉は直径5メートル、鯉は全長20メートル。人が立つと絵の大きさがよく分かる=安達麻里子撮影 蓮の花の部分。鑑賞地点から立体的に見えるように描かれている=安達麻里子撮影

 長崎・五島列島の福江島。空港から島随一の絶景地・大瀬崎灯台へと、玉之浦湾の入り江を見下ろす山あいの道を車で向かう。ふいに木々が途切れた場所で眼下を見やると、不思議な風景が目に飛び込んできた。

 蓮(はす)の花咲き、鯉(こい)が泳ぐ、青々とした巨大な池――。実は五島市玉之浦町の特別養護老人ホーム「ゆうゆうの里」の屋上に描かれた絵画である。

 作者はオーストラリア出身の3Dアーティスト、ルーディ・キスラーさん(42)。施設長の門原淳一さん(47)が、少子高齢化で人口減が進む地区の活性化のため、クラウドファンディングで資金を募って制作を依頼した。昨年9月にキスラーさんが来訪し、10日間かけて職員やボランティアと共に完成させた。

 絵は、1・3キロ先の山の中腹の1地点からだけ立体的に見えるように描かれている。制作時は、山から目視できるようにロープで輪郭を取り、車で10分ほどの山と屋上を往復して見え方を調整した。「玉之浦の豊かな自然と調和する作品になった」とキスラーさんは胸を張る。施設利用者にも好評で、職員と共に鑑賞した浜本ナツエさん(91)は「きれーかねー、ってびっくりした」と興奮を伝える。

 鑑賞地点には案内看板が無いため、知らずに通り過ぎる人もいる。ひっそりと水をたたえる「秘密の池」を、宝探し気分で探してみては。

(安達麻里子)

 玉之浦地区

 大小約140の島が連なる五島列島で最大の福江島。その南西端に位置する地区。大正時代に遠洋漁業の寄港地として栄え、現在は定置網やマグロの養殖業が盛ん。最盛期に1万人を超えた人口は現在1300人まで減り、高齢化率は50%を超える。五島各地でキリシタン迫害があった明治初期、迫害を逃れた数少ない地区で、日本最古とされるルルド(聖母誕生の地を模した洞窟)がある井持浦教会が立つ。

 《アクセス》福江港、福江空港からいずれも車で50分。


ぶらり発見

NEWパンドラ

 東シナ海に面した断崖に立つ大瀬崎灯台は福江港から車で60分。「日本の灯台50選」の一つで、映画「悪人」のロケ地にもなった。360度の絶景は迫力満点だ。問い合わせは五島市玉之浦支所(0959・87・2211)。

 「ゆうゆうの里」から徒歩10分のレストラン、NEWパンドラ(TEL87・2566)は、地元産のウツボを使ったメニューを並べる。から揚げやみそ汁=写真=のほか、湯引きや天ぷらなど充実のラインナップ(300円~900円)。午前10時~午後3時、5時半~8時。(月)の夜休み。

(2018年9月18日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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