中野の味さんぽ、後編は中央線から少し北に離れて西武新宿線沿線へ。中野区内に位置する、沼袋から鷺ノ宮までの4駅を歩いてみました。
沼袋駅北口に出て、すぐ見えてくる不動産屋さんの角を入ると、そこは人気のドラマ「孤独のグルメ」にも登場したことがある昭和っぽい路地。しばらく進むと左側に見えてくるのが「手作り菓子 アビニヨン」です。街の小さなケーキ屋さんといった雰囲気ですが、地元住民から愛され続ける創業45年の老舗。2代目の堀之内満一さん(38歳)が、たくさんのスタッフと忙しそうに働いています。
実はここ、マスコミでもしばしば紹介される名店でもあり、数々の商品は区内のコンテスト「中野の逸品グランプリ」でも何度か優勝しています。その最たるものが、2013年3月に優勝した「バンブー」(136円)。甘さ控えめのカスタードクリームを、渦巻き状のコルネにしたパイ生地で包んで焼いたお菓子です。通常のコルネをメープルシロップに漬けてから焼いているので、カリカリとした食感が味わえます。しかも、手間がかかっているのにとても安くてビックリ。
「年々、洋菓子がぜいたく品になってきて、敷居が高くなっていますよね。でも本来は、誰でも気軽に楽しめるものであるはず。そんな思いから、お子さんでも買えるような価格帯のお菓子を作りたいなと思っているんです」と堀之内さん。そしてその精神は、お客様からの「沼袋を代表するお菓子をつくってほしい」というリクエストから生まれたという「沼チョコ」(157円)にも生かされています。
かつては沼地だった沼袋の地層をイメージした、クルミとアーモンドが香ばしいチョコレートケーキ。層を崩すように食べ進んでいくと、ふんわりとしたチョコレートの甘み、そしてクルミとアーモンドの香りが口いっぱいに広がります。ちなみにリピーターを飽きさせないようにと、季節によって商品を替えているそうなので、季節の変わり目などにチェックしてみるのも楽しいかもしれません。
さて、南口に渡って妙正寺川に沿って歩き、小さな滝のある「平和の森公園」に寄り道しながら西へ。環七通りと交差する野方、そして都立家政を過ぎると鷺ノ宮に着きます。ここでのお目当ては、再び北口に渡って少し歩くと見えてくる「旭製菓 鷺の宮店」。西東京市に本社を持つ、大正13年創業のかりんとうメーカーの直営店です。
一番の人気商品は、「きんぴらごぼう」(339円)。間違いなくかりんとうなのに、本当にきんぴらごぼうの風味がする不思議な逸品です。他にも香ばしい「胡麻(ごま)かりんとう」(232円)や、全国菓子大博覧会で名誉総裁賞に選ばれた「クッキーかりんとう塩バター風味」(228円)など、小さな店内には40種以上のかりんとうがズラリ。
どれもおいしそうで目移りしてしまいますが、すべて味見ができるので、それぞれ異なる食感や味を確認したうえで購入可能。また、お手ごろ価格の「こわれかりんとう久助」(116円)もありますから、お散歩の途中にふらっと立ち寄っておみやげを買うのには最適です。
ご贈答品に使うお客様も多いそうですが、たしかにこれなら贈りやすいですね。おいしいだけではなくユニークな商品が多いので、受け取った方に喜んでもらえそうです。お伺いした際にも、大量発送の申し込みをしている方がいらっしゃいました。
同じ中野区内とはいえ、西武新宿線沿線のエリアは中央線の中野にくらべると注目される機会がそれほど多くはないかもしれません。けれど歩いてみれば、こういうすてきなお店を見つけることができるんですよ。
(印南敦史)
■手作り菓子 アビニヨン
東京都中野区沼袋1-37-11
TEL:03-3385-4336
営業時間:午前9:00~午後8:30
休み:水曜
URL:http://www.avignon-cake.com/
路地裏の小さなお店なのに、奥ではたくさんのスタッフが忙しそうにテキパキと働いていて、とても活気があります。
■旭製菓 鷺の宮店
東京都中野区鷺宮3-17-3
TEL:03-3330-4158
営業時間:午前9:30~午後6:00
休み:年末年始
URL:http://www.asahi-seika.co.jp/
「隠れ河原の和チョコ」(473円)、「りんごとはちみつ」(312円)など季節限定商品も多いので、まめにチェックするといいと思います。