2000年に東京メトロ南北線と都営地下鉄大江戸線が全線開通して以来、地域の住民と観光客がほどよく共存するようになった麻布十番。前回に続き、港区の穴場と言うべきこのエリアの味さんぽをお送りしましょう。今回ご紹介する2軒も、それぞれが個性的ですよ。
南北線麻布十番駅4番出口を出たら、ランドマークの麻布十番大通りを六本木方向へ。二つ目の角を左折すると、麻布十番郵便局の並びに見えてくるのが、2009年の11月にオープンした「FRIJOLES(フリホーレス)」です。ヘルシーでカジュアルな料理として人気の、ブリトー/タコス専門店。ブリトーは、小麦粉の生地トルティーヤで肉や米、野菜などを巻いたもの。ハンバーガーショップは数あれど、テクス・メクス(アメリカ風にアレンジされたメキシコ料理)の代表格と言えるブリトーやタコスの専門店は珍しいのではないでしょうか。
しかもこのお店、合成保存料、着色料、合成添加物は一切使用せず、すべてがフレッシュな完全手作り。アメリカン・ロックがかかる店内はおしゃれな雰囲気で、土地柄もあってか外国人客も多いので、カリフォルニアのお店にでもいるような気分になれます。ちなみにイートインのお客さんが中心ですが、週末などはテークアウトも多いのだとか。
一番人気のブリトーは、グリルドチキン(890円)、豚肉を使用したカーニタス(940円)、ステーキ(1040円)、ベジタリアン(1040円)の4種。今回は、サブマネージャーの藤原友良さん一番のオススメだというカーニタスブリトーに、スパイシーなアボカドのソース、ワカモーレ(250円)をトッピングしてもらいました。
かむごとに、レタス、ビーンズ、チーズ、ライムライスなど、ひとつひとつの食材の味が口の中で弾ける感じです。また、サルサソースのピリッとした辛さもほどよいアクセント。なおブリトーはどれも400グラム以上あってボリュームたっぷりなので、一つ食べればおなかいっぱいになってしまうこと間違いなし。
再び麻布十番大通りに出て六本木方向に進んだ最初の角を左折すると、右手に「紀文堂」の看板が見えてきます。浅草の紀文堂から独立した初代店主が明治43年に開いた、麻布十番を代表する老舗の和菓子店。現在のご主人である須崎正巳さんは、3代目にあたります。
手作りにこだわるこちらのオススメは、なんといっても人形焼とワッフル。遠方から買いに来る人も多い人気商品です。人形焼(100円)は、黄身の味が濃い、自然飼育された鶏の有精卵を使用。そして小豆は、北海道の十勝産。同じく鶏の有精卵を使用しながらも、生地にメレンゲが加えられているためふわっとした食感が楽しめるワッフルは、自家製のカスタード(130円)が人気です。その他、季節によって珈琲クリーム(150円)、あんずジャム(130円)、栗を使用した栗のモンブラン(170円)などの限定バリエーションも登場するので、定期的に足を運んでみたいところです。
肝心の味ですが、どちらも、ふんわりとした生地の香ばしさが魅力的。そして人形焼は小豆のほどよい甘みが心地よく、ワッフルは皮とクリームのバランスが絶妙。きちんとした素材を使用して、丁寧に作られたことがはっきりとわかります。親子三代の常連も多く、人形焼もワッフルもそれぞれ一日に400個くらい売れるのだとか。たしかに、家族みんなで仲良く食べる光景を思い浮かべられるような、温かみのある味です。
(印南敦史)
■FRIJOLES(フリホーレス)
麻布十番店
東京都港区麻布十番2-3-5
TEL:03-6459-4095
営業時間:午前11:00~午後10:00
(毎月第2月曜は午後3時までの短縮営業。※祝日の場合は翌日)
休み:無休
→お店のURLはこちら
他に大手町ファーストスクエア店、赤坂店、六本木店もあります。
■紀文堂
東京都港区麻布十番2-4-9
TEL:03-3451-8918
営業時間:午前9:30~午後7:00
休み:火曜
→お店のURLはこちら
十勝産小豆を使用した七福神人形焼、9種類の味が楽しめる手焼きの「紀文せんべい」も人気。