今回の味さんぽは、学生街、古書店街であり、大型スポーツ用品店や楽器店も多く…とさまざまな顔を持っている神保町。ところで、この街を代表するグルメとしてすぐに思い浮かぶものといえば?そう、カレーです。神保町は、カレー店が多いことで知られているんですよね。というわけで、数ある名店のなかから、きょうは1988年4月のオープン以来、ずっと人気を維持してきた「エチオピア」をたずねてみました。
JR御茶ノ水駅からだと、駅を背にして明治大学沿いの道を靖国通り方向に歩いて5分。東京メトロ・都営地下鉄神保町駅からであれば、A5出口を出て靖国通りを小川町駅方面に進み、駿河台下交差点を左折してすぐ。赤いテントが目印の小さなお店で、一階がカウンター、二階がテーブル席になっています。ちなみにこちらでは、「カレー」ではなく「カリー」が正式名称。
統括マネージャーの森淳一さんによれば、エチオピアのカレーの最大の特徴は「香り」だそう。ガラムマサラを独特なバランスで配合しているため、上品で奥行きのある香りを生み出せるというわけです。そして野菜をふんだんに使ったカレーは、脂をあまり使っていないためサラッと食べやすく、胃もたれする心配もなし。午前11時のオープンから客足が途絶えない理由は、そのあたりにありそうです。もちろん、テークアウトすることもできますよ。
一番人気は大きめのチキンがたっぷり入ったチキンカリー(880円)だといいますが、今回は女性に人気が高い野菜カリー(930円)と、豆カリー(880円)をオーダーしてみました。辛さは0~70倍まで好みを選べるそうで、0が中辛で、3が辛口。ただし豆カリーだけは、辛さ0、1、2がなく、3からのスタート。味の違いをチェックしてみるため、野菜カリーは1にしていただきました。「70倍ファン」も多いらしいのですが、ちょっと辛さが想像できませんね。
野菜カリーは、ピーマン、ナス、キャベツ、シメジ、マイタケ、ブロッコリー、プチトマト、ひよこ豆と具だくさん。カレーの香りとともに、ひとつひとつの野菜の味をはっきりと感じることができます。一方、挽(ひ)き肉とインド産の豆が3~4種類入っている豆カリーは、酸味が強めでサラサラのスッキリした味わい。どちらもそれぞれ、異なった魅力がありますが、1や3はそれほど辛くないので安心して食べられそうですね。
なお、老舗のお店には「◯年変わらない味」と銘打っているところも少なくありませんが、エチオピアでは時流に合わせ、毎年少しずつ味を調整しているのだとか。たしかに時代とともに味の好みは変わっていくものですから、正しい選択と言えるでしょう。
エチオピアにはまだまだ特徴があります。まずはお米。コシヒカリをベースに、時期によってはミルキークイーンを配合して甘みを加えたりもしているというだけあって、ご飯がとてもおいしいのです。しかも一人前が320グラムなのでボリュームたっぷり。そればかりか、ホクホクのジャガイモもついてくるのですから、おなかいっぱいになれるというわけです(お店で食べた場合、ジャガイモはおかわり自由だそうです)。
お話をうかがったのは、人の出入りが一段落した午後3時すぎ。しかしそんな時間でも、客足は途絶えません。次々に入ってくる人たちを見ていると、「愛されているお店なんだな」と改めて実感できました。
お客さんは平日はサラリーマンと学生さんが中心で、土日は古本屋さんや楽器屋さん散策の途中で立ち寄る人が多いとのこと。7:3くらいの比率で男性が多いものの、最近は女性客も増えているそうです。サラッとヘルシーな「カリー」ですから、十分に納得できる話ですね。
(印南敦史)
■カリーライス専門店 エチオピア
東京都千代田区神田小川町3-10-6
TEL:03-3295-4310
営業時間:平日:午前11:00~午後10:30、
休日:午前11:00~午後9:00
※ラストオーダーは閉店の30分前
休み:無休
URL:http://www.ethiopia-curry.com/
JR御茶ノ水駅から徒歩1分の御茶ノ水ソラシティ地下1階に御茶ノ水ソラシティ店が、そして高田馬場にも支店があります。