愛知県中部、日進市の小高い山にある白山宮。末社の一つ足王社は、足腰の神様アシナヅチと、なでると体の痛みが取れるという「痛みとり石」をまつる。
2002年のサッカーW杯日韓大会以来サポーターの参拝も増え、日本代表エンブレムのついた絵馬やお守りが授与されるなど「サッカー神社」としても親しまれる。
なるほど、それで足の形か――中央が足袋のようにくりぬかれた新社殿の屋根に納得したが、早とちりだった。
社殿とお守りなどの授与所を回廊でつなぎ、ドーナツ形の屋根で覆う形は、宮司の加藤知史さん(56)と建築家の鵜飼昭年さん(54)が対話を重ねる中でつくられていった。
屋根の形は「社殿に近づく人の視線や歩き方を考えてデザインした結果」と鵜飼さん。加藤さんは、偶然足に似たことに「神様のご威光を感じます」と話す。
全体がモダンな中で、凹凸カーブが連続する正面の「てりむくり」屋根が神社らしい。脇から入ると、ご神体の裏をぐるりと回る「ほこらの参道」。白木のヒバ材が千本鳥居のように立ち並び、中ほどに「痛みとり石」が置かれている。
太い柱やはりからなる荘厳な建築ではなく、「家具のように作る」ことを心がけたという鵜飼さん。「新しく見えるけれど、実現には宮大工やいろいろな職人の伝統的な技術が必要だった」と振り返る。
「建築がきっかけで参拝者が増えた」と加藤さんは話す。平日だった取材日にも東京や大阪から来たという若者が訪れていた。
(高木彩情、写真も)
DATA 設計:鵜飼昭年 《最寄り駅》 星ケ丘駅からバス |
徒歩14分の岩崎城は、織田信長の父信秀の城だったとされる城跡。本丸跡からは6世紀ごろの古墳も見つかっている。「岩崎城刀劇隊」は戦国武将らに扮してイベントなどで殺陣や芝居を披露する。歴史や遺構、マスコットなどについて出題する「岩崎城検定」(初級、中級)を5月21、22日に開催(要申し込み)。