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建モノがたり

成蹊大学情報図書館(東京都武蔵野市)

学生が集い しゃべれる宇宙

「プラネット」は3基が定員16人、2基が同24人
「プラネット」は3基が定員16人、2基が同24人
「プラネット」は3基が定員16人、2基が同24人 武蔵野市を含む近隣6市区の住民は申請が通れば、館内での資料閲覧のみ有料で利用できるが、現在は休止中

図書館の外からガラス越しに見える球状や楕円球状の物体。アトラクションのようなアレは一体なに?

 「プラネット(惑星)を設置した日は思い出深いです」と三菱地所設計の佐藤琢也さん(45)は語る。成蹊大学情報図書館の中央部、約30メートル四方のガラス張りの吹き抜けに浮かぶように見える、キノコのような形のグループ閲覧室のことだ。

 吹き抜けの両側は5階建ての書架スペース。まず書架部分を造り、その間に立てた柱の上に閲覧室を設置。その後で書架棟から書架棟へ屋根を架けるという工程だった。

 その日、佐藤さんは朝早くから書架棟の屋上で見守った。キノコの笠に当たる部分はガラス製。地上で組み立てたものをクレーンでつり上げ、大勢の作業員にロープで引かれながらそっと柱の上に。全5基の取り付けが終わった瞬間、固唾をのんで見つめていた関係者らから自然と大きな拍手と歓声が起きたという。

 設計は、国際的建築家の坂茂さん(62)を中心に進めた。小学校から高校まで成蹊学園に通った坂さんの側から申し出た。目指したのは「しゃべれる図書館」だ。「机をシェアしているのに議論ができない。飲食や会話もできないという不便を変えたかった」。館内を目的別に分け、中央は学生が集える居心地のよい場にしようと考えた。

 ゼミや勉強会に使われるプラネットには、3~5階の渡り廊下から入る。建物周囲にある枝葉を広げたケヤキのイメージが、試行錯誤の中で丸い形になったという。図書館の内外を見渡せる開放感が心地よいが、逆に周りから見られていると思うと身が引き締まりそうだ。

(牧野祥)

 DATA

  設計:坂茂建築設計、三菱地所設計
  階数:地下2階、地上5階、塔屋1階
  用途:大学図書館
  完成:2006年6月

 《最寄り駅》 吉祥寺


建モノがたり

 吉祥寺駅から成蹊大方面へ5分ほど歩くと、セレクト書店百年(問い合わせは0422・27・6885)がある。古本を中心に、新刊や個人が制作する小冊子ZINE(ジン)などを販売。トークイベントやイラストの展示も随時行っている。当面、正午~午後8時。(火)休み。

(2020年7月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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