ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
末広がりの「八」 ご縁もたくさん
青色のすっきりとした直線が、霊峰の澄んだ空気まで感じさせるようだ。八つの三角形による「富士山」は、ふじさんミュージアムの愛称で呼ばれる富士吉田市歴史民俗博物館のシンボルマーク。
2015年のリニューアルを機に制作を任されたのは、デザイナー・アートディレクターの小玉文さん。「末広がりの富士山は八の形。三角形八つでこの形が表現できると気がついて発想した」と振り返る。
「八」という数字は、富士山信仰とも縁が深い。学芸員の布施光敏さんによると、山頂を一周するおはち巡りは、「鉢」ではなく八つの峰を巡る「お八葉巡り」が縮まったものだという。さらに、富士五湖を含む富士山周辺の湖はかつて「富士八海」と呼ばれる巡礼地だったと説明する。
マークの三角形には世界遺産、芸術、歴史といった館の八つのキーワードも込めた。柔らかい字体のロゴタイプは、民俗学を若い人にも親しみやすくという意図から。館にはカップルや家族連れも、多く訪れている。
◆富士吉田市歴史民俗博物館(ふじさんミュージアム) 山梨県富士吉田市上吉田東7の27の1(問い合わせは0555・24・2411)。午前9時半~午後5時(入館は30分前まで)。(祝)を除く(火)休み(7・8月は無休)。