ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
旧宮邸のアールデコ 「T」で表現
1933年に建設された旧朝香宮邸を継承して83年に開館した東京都庭園美術館。アールデコ様式の内装から得たイメージに、「TOKYO」の「T」を溶け合わせた。
手がけたのはデザイナー、建築家、現代美術作家として幅広く活躍する矢萩喜從郎さん。美術館になる前、迎賓館だった頃に訪れたこともあり、「すでにアールデコの空気を吸収していたので、デザインはすぐに浮かんできた」と振り返る。
フランスの装飾芸術家アンリ・ラパンやガラス工芸家ルネ・ラリックらが内装を、日本の技術者が設計を行った建物は、日仏の文化がまさに融合している。モチーフは館の目玉でもある噴水器(香水塔)。照明部分に香水をたらして香りを楽しんだといわれている。
同館学芸員の板谷敏弘さんは「館の上質なイメージによく合っています」と話す。2014年に大規模な改修工事を経てリニューアルした際に、和英併記するなどバリエーションを増やしたが、シンボルマークは変わらず30年以上親しまれている。
◆東京都庭園美術館 東京都港区白金台5の21の9。午前10時~午後6時(入館は30分前まで)。第2・4(水)(祝の場合は翌日)休み。問い合わせは050・5541・8600。