ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
竹や屏風のイメージ重ねる
リズミカルに並ぶ縦線。このモチーフが、根津美術館の様々な場所にある。門から本館入り口まで竹材が並ぶ通路。日本庭園の竹林。館が収蔵する日本と東洋の古美術の中にも。
制作したのは、ドイツ人のぺーター・シュミットさんが率いるデザイン会社。シュミットさんは来日のたび同館を訪れ、展示品や庭園に興味を持っていたという。
黒色と金色の線はそれぞれ、館名の英語表記の頭文字をとって「N」と「M」を表現。代表的な収蔵品の「燕子花図屏風」にも着目し、屏風を立てて斜め上から見たようなイメージも重ねた。1本1本の線は竹のようでもある。ロゴと同じく2009年に新装された隈研吾さん設計の本館内にも竹材を多用している。
制作を依頼した根津公一理事長兼館長は「(シュミットさんは)東洋の古美術に造詣が深く、伝統を踏まえて現代を生きる当館の考え方に共感してもらった」と振り返る。漢字表記は、中国漢時代の碑文から採った隷書体。古典と現代が溶け合う館の特徴を示している。
◆根津美術館 東京都港区南青山6の5の1(問い合わせは03・3400・2536)。新型コロナウイルス感染予防のため当面休館中。