『タクシー運転手 約束は海を越えて』の「チュモッパッ」 日本でよく食べられているおにぎりは韓国にもあって、「拳のような形をしたご飯」という意味で、「チュモッパッ」と呼ばれています。
麻薬捜査班の刑事たちが犯人検挙のため、フライドチキン店の偽装営業を始めたところ、捜査が手につかないほど大繁盛してしまう。そんな奇想天外なストーリーで、2019年に韓国での観客動員数ナンバー1を記録した映画「エクストリーム・ジョブ」(2020年日本公開、イ・ビョンホン監督)。ヒットの要因はストーリーのおもしろさだけでなく、「国民食」と呼ばれるほど、韓国人に愛されるフライドチキンにあるのかもしれません。
第2回 『エクストリーム・ジョブ』の「フライドチキン」
なかなか実績が上げられず、解体の危機を向えていた麻薬捜査班。そんな時、リーダー・コ班長が麻薬を密売している国際犯罪組織の情報をつかみ、4人のメンバーとともに張り込み捜査を始めます。しかし、ひょんなことから組織のアジト前にあるフライドチキン店を引き継ぎ、偽装営業をすることになってしまうのです。
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画像提供:bb.q オリーブチキンカフェ
韓国では「国民食」と呼ばれるほど、よく食べられているフライドチキン。街中のいたるところにフライドチキン店があり、2019年にKB経営研究所が発表した報告書では、全国に約8万7000店舗が存在するとか。日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、日本におけるコンビニエンスストアの数は約5万6000店舗(対象・同会正会員、2022年7月度)。日本のコンビニより、韓国のフライドチキン店の方がはるかに多いことになります。近年は日本にも韓国式フライドチキン店が続々と上陸し、定番の韓国グルメの一つとなりつつあるようです。
映画では来店客から「タレ付きチキン(ヤンニョムチキン)」という想定外の注文を受け、“絶対味覚”を持つマ刑事がカルビのタレを調合して、オリジナルメニュー「水原(スウォン)カルビ味チキン」を完成させます。ソウルの南に位置する都市・水原市の名物料理である「ワンカルビ(特大の牛カルビ焼き)」から着想を得た一品で、口にした客たちは「激ウマだ」「最高の味」と大絶賛。それ以来、行列の絶えない大人気店となり、ついには捜査に手が回らないほどの忙しさになってしまいます。
画像提供:bb.q オリーブチキンカフェ
映画が公開されると、韓国人の「フライドチキン愛」を刺激したのか、わずか半月で観客動員数1000万人を突破。さらに、実際に「水原カルビ味チキン」を販売する店に客が押し寄せたり、大手コンビニチェーンが商品化したり、現実の世界でも一大ブームを巻き起こしました。
また、映画の制作会社がオリジナルレシピを公開したところ、まねして作った人たちがSNSに写真を投稿。日本で手に入りやすい食材を使った日本版のレシピも、配給会社のクロックワークスから公開されています。映画を楽しんだ後は韓国人が愛して病まないフライドチキンを作って、味わってみるのもいいかもしれません。
【作品情報】
「エクストリーム・ジョブ」
製作年 2019年
製作国 韓国
監督 イ・ビョンホン
脚本 ムン・チュンイル
出演 ソリュ・スンリョン、イ・ハニ、チン・ソンギュ、イ・ドンフィほか
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発売元 クロックワークス
販売元 TCエンタテインメント
価格 通常版DVD 4180円、通常版Blu-ray 5390円、豪華版Blu-ray 7480円