明治時代から戦前にかけて織物産業が盛んだった佐野は、忙しい女工さんが手軽に食べられる昼食や夜食、おやつとして大根そば、佐野らーめん、いもフライなどが重宝されたといわれています。佐野の人々に長年愛されるご当地グルメを味わってみませんか。
・佐野らーめん
佐野は北に連なる足尾山系の水脈をはじめ、環境省選定の「名水百選」のひとつになった出流原(いずるはら)弁天池などの良質な水に恵まれました。小麦粉の産地でもあることからラーメンが普及したといいます。
大正時代初期、市内の飲食店に勤めていた中国人料理人が教えた、孟宗竹(もうそうちく)に体重を乗せて麺を伸ばす「青竹打ち」が始まりでした。
太い縮れ麺はスープによくからみ、もちもちとした歯ごたえがあります。透き通るような琥珀(こはく)色のスープは、しょうゆのあっさりとした味わいが楽しめます。チャーシュー、めんま、なると、長ネギなどを切って載せるのが定番のスタイル。
1988年2月に地元の店主によって結成された「佐野らーめん会」は2018年に30周年を迎え、加盟店は70店になりました(2018年6月現在)。2月25日の「佐野らーめんの日」には、加盟店による特別サービスがあります。「さのまる」の誕生日と同じなのは偶然だそうです。
佐野ブランドキャラクター「さのまる」が頭にかぶっているのも佐野らーめんのおわんの笠でしたね。ちなみに縁の部分にはアルファベットで「SANO」と書かれていますよ。額にちょろっと伸びたラーメンの前髪がかわいらしいですね。
らーめん大金
佐野市大橋町3229の7
TEL0283・23・1989
午前11時半~午後3時(ラストオーダー2時45分)、5時~7時半(材料が終わり次第終了)
月曜日(祝日の場合は翌日)休み
ラーメン 580円
・いもフライ
蒸したジャガイモにパン粉の衣を付けてかりっと揚げ、片手で食べやすく串に刺したのがいもフライの元祖だといわれています。いもフライを提供するお店は、市内だけでも約20店あります。
特筆すべきはフルーティーな地元産の特製ソース。衣がさくさくとした揚げたても格別ですが、少し間を置いてソースを衣にたっぷりしみこませてから食べると、よりしっとりとして味わい深いですよ。
さのまるが腰に差しているおなじみの剣は、いもフライの形をしています。
江原商店
佐野市高萩町561の10
TEL0283・23・7007
午前10時~午後6時
水曜日と日曜日休み
いもフライ 1本80円
・大根そば
明治時代から食べられている郷土料理。良質な水に恵まれた佐野は昔からそばの産地であり、甘みのある大根も採れました。戦後の食糧難の時代は、少量のそばに千切りした大根を混ぜてかさを増すことで空腹を満たしたといいます。
千切りした大根は、生のままそばの上に載せる、ゆでてそばの上に載せる、ゆでてそばと混ぜる、などお店によって様々な食べ方があります。ボリューム満点な上に、しゃきしゃきとした大根の食感がさっぱりとして、いくらでも箸が進みそうです。
唐沢そば・かさはら
佐野市堀米町2206
TEL0283・22・3707
午前11時~午後2時、4時~7時
火曜日休み(月曜日は午前11時~午後2時のみ営業)
大根そば 750円
・耳うどん
無病息災や魔よけの意味が込められた、仙波地区発祥の郷土食。耳の形をしたうどんを食べれば悪い話が聞こえなくなり、転じて近所づきあいが円滑になるという言い伝えがあります。お正月には各家庭の食卓に上る、ソウルフードのような存在です。
長方形に平たく伸ばしたうどんを中心で折り合わせ、耳を再現しています。この特徴的な形が、耳うどんの珍しさを際立たせています。
大橋町野村屋
佐野市大橋町3234の1
TEL0283・22・1196
午前11時~午後2時半
金曜日休み
耳うどん 770円
他にも……
道の駅どまんなかたぬまでは名物ご当地グルメのほか、地元の野菜や特産品などが購入できます。
佐野市吉水町366の2
TEL0283・61・0077
水曜日と1月1日、1月2日休み