つめをぬるひとさん(爪作家)
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
「アフター・ヤン」(2021年) 「テクノ」と呼ばれる人型ロボットのヤン、中国系の養女・ミカ、養父母が暮らす近未来が舞台です。
性格は違えど仲良しの4姉妹がともに成長し、それぞれの道を歩んでいく物語です。
私は特に、主人公で小説家を目指す、次女のジョーに感情移入することが多いです。劇中で、彼女は何を書けば良いのか分からなくなり、悩んだ末に4姉妹の物語を書きます。三女のベスが亡くなった時期だったから、ジョーはきっと物語の中で、時を止めたかったのだと思うんです。4人で一緒にいられた時間を閉じ込めたくて。私も6匹の猫を飼っていたのですが、昨年1匹を亡くしました。でも、私の絵本「こねこのトト」を開けば、6匹が変わらずにそこにいてくれます。
物語の中では亡くなったベスも猫も生き続けている。その大切さや意義に気づいて、創作への思い入れも変わりました。
仲が良かった男性からのプロポーズを断ったジョーが、後悔しながら「とっても寂しいのよ」と言うシーンは、毎回泣いてしまいます。強がっていても、すごく寂しくなる時があるから。幸せなはずなのに、心にぽっかりと穴があいてしまう。その気持ちがすごく心に響きます。4姉妹の中でジョーが一番大人っぽく見えますが、本当は一番幼い心を持っているのかもしれません。
ジョーが自分の作品を否定されて、相手に怒るシーンがあります。私も自分の作品に自信が持てなくなる時がありますが、そういう時は、自分の「好き」を再確認するんです。好きな映画や、アンティークの小物を見て、「私はこういうものが好きなんだ」と立ち返る。そうすると、創作のスイッチが入ります。
(聞き手・斉藤梨佳)
監督・脚本=グレタ・ガーウィグ
原作=ルイーザ・メイ・オルコット 製作国=米 出演=シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソンほか
岐阜県出身。絵本の挿絵やパッケージデザインなど幅広く活躍。昨年には初の自作絵本である「こねこのトト」(白泉社)を発売。
|