秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
自分にとってベストの映画は100本以上あります。漫画と同じで「この作品で、時間を忘れるくらい、読者によい時間を過ごしてもらう」のが勝負なので、少年漫画家として「面白くない映画なんて絶対すすめられないぞ!」という思いで選びました。
刑務所を出所して善人になると誓った男が、銀行強盗に巻き込まれてしまうアクションコメディーです。イラストの右上に描いたのは、銀行強盗の娘が、主人公ルーカスの隣で眠ってしまうシーン。最初、彼女のことなんてどうでもいいと思っていたルーカスの心の変化が、すごくよくわかる。人が信じたいあったかい情みたいなものが感じられて、特に印象に残っています。俺もそういうものが描きたくて、漫画家をやってますから。
この映画は、今も3人がどこかにいるかのような終わり方をします。最後に、完全に物語を終わらせて読者を物語から解放することも、作者のひとつの使命。しかし、こんな風に物語の種を読者の心に残し続ける終わり方もあって、それが漫画でいう読後感につながっていきます。
漫画で重要なのは絵じゃないと思うんです。すごい絵やかっこいいキャラクターをだしても、読者の心に何の波風も起こさないような漫画ってありますよね。人の心を揺さぶるのは、絵じゃなくて「気迫」かもしれない。その気迫は、好きな映画を思い出して「俺もあんな漫画が描きたい!」っていう気持ちから生まれるんじゃないかな。面白い映画っていうのは漫画家にとってエネルギー源ですね。
(聞き手・宮嶋麻里子)
監督・脚本=フランシス・ベベール
製作=米
出演=ニック・ノルティ、マーティン・ショート、サラ・ローランド・ドロフほか ふじた・かずひろ
代表作に「うしおととら」「からくりサーカス」など。最新作「双亡亭壊すべし」(少年サンデーコミックス)全25巻が発売中。 |