真っ黒な姿が目を引く、代官山のパウンドケーキ専門店「エニスモアガーデン」の黒ごまのパウンドケーキ。パウンドケーキといえば、小麦粉、卵、砂糖、バターをそれぞれ1ポンドずつ使うことから名付けられたと言われ、少しぽそぽそする食感が特徴でもあります。ところがこの黒ごまのパウンドケーキは、しっとりした半生の食感。ごまそのものがケーキになったような豊かな風味が広がり、香ばしいタルト生地がおいしさを引き立てます。
この驚きの味わいは素材の配合に秘密があります。まず特筆すべきは黒ごまの量です。約380グラムのレギュラーサイズのケーキにペースト状のごまを100グラム、およそ36000粒もの黒ごまを使っているとか。このごまの油分によって半生の食感がうまれます。ごまがたっぷりな分、小麦粉の量は従来の1/10程度、ケーキ生地にバターは使わず、ごまの風味をいかしてコクのある甘さにするために砂糖は三温糖を控えめに。そして、膨張剤であるベーキングパウダーを使わないのも店のこだわりです。
ベーキングパウダーを使わないことで、素材の味がぎゅっと凝縮されてしっとりした質感になると、店長の小山暁美さんはいいます。「卵だけでケーキをふくらませるのは手間がかかり、むずかしいのですが、その日の気温などをみながら職人が焼き加減を調整しています」
このパウンドケーキは、オーナーの友人であるヘアメイクアーティストの男性が趣味でつくっていたケーキが評判になり、そのレシピをもとにパティシエがアレンジしたのが始まりだそう。セオリーにとらわれないレシピだからこその、オンリーワンな味わい。抹茶のアイスクリームを添えて食べるのが、小山さんのおすすめです。
◆
「パウンドケーキは黒ごまのほかにチーズ、アールグレイ、期間限定のレモンなどがあり、それぞれ食感、風合いが異なりますのでぜひお試し下さい」
エニスモアガーデン 日本橋三越店
店長・小山暁美さん
■ チーズのパウンドケーキ ハーフ 1260円
2種類のフランス産クリームチーズを生地に練り込むだけでなく、かたまりでも使用。甘さ控えめで、ワインやシャンパンにもよく合い、特に男性に人気が高い。
SHOP DATA
「エニスモアガーデン 日本橋三越店」
住所:東京都中央区日本橋室町1の4の1、日本橋三越本店本館地下1階
電話番号:03-3241-3311(代表)
営業時間:10:00~19:30