「五感で楽しめる」県立美術館 2015年4月24日(金)、「日本一のおんせん県」を名乗る九州・大分に大分県立美術館(OPAM)が開館します。長崎県美術館(2005年)、青森県立美術館(2006年)以来、9年ぶりに新設される県立美術館です。
「アートも観たいけど、海にも行きたいの」。そんなちょっとぜいたくな願いも、横須賀美術館であればいつでもかなえられます。東京湾から浦賀水道を抜け太平洋へとかじをとる大型船から、漁を終えて寄港する小さな漁船まで、横須賀美術館の「屋上広場」から時間の許す限り眺めていられます。
自然豊かな神奈川県立観音崎公園内に建つ横須賀美術館は、建築当初から周囲の環境の中に溶け込ませるように考えられ作られています。無機質なコンクリートの塊でなく、有機的な色合いのガラスで館全体がおおわれた姿は箱根ポーラ美術館に通じる美しさがあります。
館内へ一歩足を踏み入れてもその感覚は変わるどころか、一層増すような不思議な印象を受けます。地下の回廊式の展示室にまでランダムな大きさの円窓から外光が差し込み、意識しないとそこが美術館の地下だとは気が付かないほどです。そこから一気にガラスのエレベーターで屋上まで上がれば視界に雄大な海が目の前に広がります。これだけ自然環境に恵まれた美術館が首都圏にあることに驚かれるはずです。
そして、横須賀美術館は、NPO法人地域活性化支援センターが認定した「恋人の聖地」(現在日本国内128カ所)となっている知る人ぞ知る“デートスポット”でもあるのです。暑い季節であれば、海に面した芝生が美しい「海の広場」からそのまま観音崎海岸へ出てもよし。「山も楽しみたい」、なんて更にぜいたくな願いも「山の広場」が応えてくれます。美術館裏手に広がる自然の森で森林浴を思う存分に満喫出来ます。「山の広場」は観音崎公園の玄関ともなっており、自然だけでなく歴史好きな方にとっても見どころ満載とのエリアです。
雄大な太平洋へとつながる海を行き交う船を眺め、異国に思いをはせつつ、自然と歴史豊かな観音崎公園での森林浴を楽しむ。横須賀美術館をコアとして、「海の広場」「屋上広場」「山の広場」それぞれ三つの広場が、有機的なつながりをみせています。アートだけでなく海も山も一度に楽しめるとてもぜいたくな美術館なのです。
これだけ自然環境に恵まれた美術館ですので、併設されているレストラン「ACQUA MARE(アクアマーレ)」も連日にぎわいをみせています。ランチ・タイムには長蛇の列ができることもしばしば。美術館へ早めに行ったらまずレストランの予約をすることをおススメします。電話予約も可能です。046-845-1260 詳細はレストランのサイトで確認して下さい。http://www.acquamare.jp/ 東京・広尾にあるイタリアン「リストランテ アクアパッツァ」の日高良実シェフが総料理長を務めているだけありその味は折り紙つき。どの席からも海を見ながらお食事できることも美術館同様大きな魅力のひとつなっています。 |
横須賀美術館
〒239-0813
神奈川県横須賀市鴨居4-1
開館時間:午前10時~午後6時
休館日:毎月第1月曜日、12月29日~1月3日
電話:046-845-1211
URL:http://www.yokosuka-moa.jp/
【筆者プロフィール】
中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/