「五感で楽しめる」県立美術館 2015年4月24日(金)、「日本一のおんせん県」を名乗る九州・大分に大分県立美術館(OPAM)が開館します。長崎県美術館(2005年)、青森県立美術館(2006年)以来、9年ぶりに新設される県立美術館です。
2014年(平成26年)3月7日、大阪市阿倍野地区(天王寺)に高さ日本一の300メートルの「あべのハルカス」(地下5階地上60階建て)がオープンしマスコミでも大きく報じられました。近鉄百貨店(あべのハルカス近鉄本店)やオフィス、ホテル(大阪マリオット都ホテル)、そして展望台が入る超高層複合ビルです。
そのビルの16階に「あべのハルカス美術館」はあります(3月22日「東大寺」展で正式オープン)。展示室の広さは880平方メートルと渋谷Bunkamuraザ・ミュージアムとほぼ同じですが、天井が高く空間がゆったりと感じられます。
この美術館の大きな特徴のひとつとして、国宝・重要文化財に指定されている作品も展示が可能という点があげられます。そんなのどこの美術館でも当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、実はそうではないんです。
国宝・重文を展示するには、そのたびに文化庁の様々な基準をクリアする許可が必要なのです。例えば温湿度の調整・管理は当たり前として、その他にも耐震性、防火性、専用エレベーターの完備、展示ケースのガラスの強度、照度など基準は細部にわたり、全ての美術館がこれらをクリア出来るとは限らないのです。
近隣の寺社の宝物をはじめとする文化財を借りて展示するためには、これらの難関をクリアしなくてはならず、高層階に国宝・重文を展示した前例がないため、文化庁や東文研と何度も協議を重ねたそうです。
そのかいあって、最初の展覧会では東大寺に奈良時代から伝わる、国宝「誕生釈迦仏立像」を展示することが出来ました。まさに新しい美術館の誕生にふさわしい作品です。2007年に現在の東京ミッドタウン内に移転したサントリー美術館以来となる複合ビル内に誕生した国宝・重文展示が可能な本格的な美術館です(共にコクヨのミュージアムケース「THEORiA(テオリア)」を採用)。大阪の新たな文化の発信地として大きくそして高く羽ばたいていくことでしょう。
アクセス抜群! |
あべのハルカス美術館
〒545-6016
大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
あべのハルカス16階
開館時間:火~金 午前10時~午後8時(土日祝は午後6時まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合開館)、年末年始、展示替え期間
電話:06-4399-9050
URL:http://www.aham.jp/
【筆者プロフィール】
中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/