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ぶらり、ミュージアム

重要文化財の最上階にある美術館

(三井記念美術館)

三井記念美術館の入る三井本館(重要文化財)
三井記念美術館の入る三井本館(重要文化財)
三井記念美術館の入る三井本館(重要文化財) 竣工当時(1929年)のままの雰囲気を色濃く残す展示室1 竣工当時(1929年)のままの雰囲気を色濃く残す展示室2 「飾りダンロ」(マントルピース)のある入口部分 国宝・茶室「如庵」の室内を再現した展示室

 ♪お江戸日本橋七つ立ち 初上り 行列そろえてアレワイサノサ~♪ 東海道五十三次をはじめとする五街道の出発地点であった日本橋。現在でも日本橋の中央に「日本道路元標」が埋め込まれ、日本の道路の起点となっています。

 日本橋・三越本店の道路をはさんだ隣に、重要文化財「三井本館」が、昭和初期の日本を代表する建物として、凜とした雰囲気で建っています。この三井本館の7階に三井記念美術館がオープンしたのが2005年(平成17年)10月。

 円山応挙の国宝「雪松図屏風」や国宝「志野茶碗 銘卯花墻」、重要文化財「黒楽茶碗 銘俊寛」などの名品を有する三井記念美術館は、建物自体も重要文化財指定を受けているのです。重要文化財の中で重要文化財、国宝を観る愉悦。たまらないものがあります。

 東京国立博物館本館も重文指定を受けていますが、三井記念美術館の場合は元々別の用途(銀行やオフィスビル)で建てられたビルの7階フロアをリニューアルしたもの。前述のとおり、重要文化財指定の三井本館ですから、いくら自社ビルといえども勝手な改変は出来ません。

 だからこそ逆に三井記念美術館のあちこちに、作られた当時をしのばせるものが今でも残されているのです。例えば入場してすぐ、右手方面にある「飾りダンロ」(マントルピース)や展示室1、2や、それらをつなぐ重厚な木製の扉などなど。

 お目当ての作品についつい目が行ってしまいますが、歴史的価値の高い重要文化財として、三井記念美術館を観てまわると、これまでよりも何倍も楽しみが増すはずです。

 個人的におススメなのが、1929年(昭和4年)につくられたエレベーター。当時のまま残されているだけでなく、なんと現役で動いているのです。7階にある美術館へ行く場合は必ず乗るもの。「ずいぶんと旧式だな~」と思われた方も多いのではないでしょうか。東京駅に八重洲口が開設したのが1929年です。それから100年以上の長きに渡り働き続けているのです。矢印形の針で階数を示すアナログ感もたまりません。

 三井記念美術館
 
http://www.mitsui-museum.jp/

 

耳よりばなし

 江戸の昔から商業・文化の中心とした栄えた町であり、現在も変わらぬ賑わいをみせている町、日本橋。今年の春には三井記念美術館の向かい側に新しい商業施設もオープン予定となっています。「COREDO 室町2」には日本橋初のシネコン「TOHOシネマズ日本橋」も入るそうです。三井記念美術館で名画、名品を拝見した後に、ランチ、三越でお買い物し、映画を観てそしてディナーへ…。半径200メートル圏内で丸一日過ごせてしまう新しい日本橋からこれからますます目が離せませんね。


データ

三井記念美術館

〒103-0022
東京都中央区日本橋2-1-1 三井本館7階
開館時間:午前10時~午後5時
※入館は4時30分まで

休館日:月曜日・展示替期間・年末年始
電話:03-5777-8600 ハローダイヤル
URL:http://www.mitsui-museum.jp/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2014年2月10日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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