「五感で楽しめる」県立美術館 2015年4月24日(金)、「日本一のおんせん県」を名乗る九州・大分に大分県立美術館(OPAM)が開館します。長崎県美術館(2005年)、青森県立美術館(2006年)以来、9年ぶりに新設される県立美術館です。
表参道駅から徒歩8分。東京都心でも超一等地の南青山に約2万平方メートルの敷地を有する根津美術館があります。ここは元々創設者である初代根津嘉一郎(1860~1940)の私邸があった場所で1万7千平方メートルものぜいたくな庭園を抱えるまさに都会のオアシス的存在です。四季折々の顔を有する庭園は、展覧会プラスαの楽しみをもたらしてくれます。
庭園内には弘仁亭、閑中庵、披錦斎、斑鳩庵の四つのお茶室があります。普段は外からしか見られませんが、月に一度、お茶室の一般公開も行っています(四つの茶室を月一で順番に公開)。また一般にはあまり知られていませんが、お茶室を借りることも可能です。炭をおこし、釜の湯を沸かすといった本格的なお茶会が開けます。
初心者のために、特別展「清麿 -幕末の志士を魅了した名工-」(2月26日-4月6日開催)期間中の3月20日(木)、「はじめての茶席-花見どきの茶-」も開催されます。お茶をやってみたいけどチャンスがなかなかないという初心者向けのお茶会です。茶室「披錦斎」にて根津美術館の所蔵する美術品としての茶道具を実際に使用してのお茶会。重い腰上げてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。春は新しいことをスタートさせる絶好の季節です。(参加券は館内受付でのみ販売)
さて根津美術館の庭園内にはお茶室だけでなく「根津美術館八景」と称される見どころスポットが点在しています《【1】月の石船 【2】弘仁亭の燕子花(かきつばた)【3】東熊野 【4】ほたらか山 【5】薬師堂の竹林 【6】披錦斎の紅葉 【7】吹上の井筒 【8】天神の飛梅祠》。吹上の井筒は実際に今でも地下水が湧き出ており、ちょっとしたパワースポット的な人気を博しています。またこの時期は受験シーズンということもあり天神の飛梅祠に合格祈願のお参りに来る人もいるそうです。根津美術館八景に飽き足らぬ人は100体を超える石像・石柱巡りをしてみるのも良いかもしれません。
これだけ広大な庭園を維持管理するために、半世紀以上も3代にわたりこの庭の手入れをしている庭師さんがいます。法被姿に地下足袋姿の庭師さんに会えたら幸運になれる?!なんて都市伝説もあるとかないとか。展覧会だけでなく庭園も楽しめる都心のぜいたくな美術館です。
■根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/
根津美術館と言えば忘れてはいけないのが庭園内にたたずむ「NEZU CAFÉ」です。三方の壁面がガラスで覆われているため庭園内の景色の中に溶け込みながら優雅な時間を過ごせます。ティーインストラクター指導のもとフォートナム&メイソンの茶葉を使用した紅茶や有機栽培豆を使用したNEZUブレンドコーヒーから特製ミートパイまで豊富なメニューを取りそろえています。元々根津家の家族だんらんのひと時を過ごすサンルームだったこの場所は、お庭が一番奇麗に見える場所のひとつでもあります。 |
根津美術館
〒107-0062
東京都港区南青山6-5-1
開館時間:午前10時~午後5時
※入館は4時30分まで
休館日:月曜日・展示替期間・年末年始
電話:03-3400-2536
URL:http://www.nezu-muse.or.jp/
【筆者プロフィール】
中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/