読んでたのしい、当たってうれしい。

アートリップ

わらアート 
武蔵野美術大生と地元ボランティア作(新潟市西蒲区)

「巨大動物」が公園に出現

身をかがめてうなるライオン。撮影後の台風18号の影響で、しっぽが折れ、表面が乱れるなどの被害に遭った=伊ケ崎忍撮影
身をかがめてうなるライオン。撮影後の台風18号の影響で、しっぽが折れ、表面が乱れるなどの被害に遭った=伊ケ崎忍撮影
身をかがめてうなるライオン。撮影後の台風18号の影響で、しっぽが折れ、表面が乱れるなどの被害に遭った=伊ケ崎忍撮影 ゴリラの胸筋はムシロを使って表現=伊ケ崎忍撮影

 新潟市西蒲(にしかん)区の上堰潟(うわせきがた)公園で今、巨大な「ライオン」や「ゴリラ」など4体に会える。

 面積の約半分を田んぼが占める同区で、地域活性化を目的に2006年から始まった「わらアート」だ。武蔵野美術大学(東京都小平市)の学生と、地元のボランティアらが毎年、稲わらを使って造形物を作る。

 訪れたのは完成日の9月1日午前。学生44人が黙々と仕上げに励んでいた。大きさは例年、7×4メートルほどで1体につき田んぼ1反(約千平方メートル)分の稲わらを使う。ライオンは、体長10メートル、高さ5メートルと過去最大だ。

 「迫力ある動きを出すために足の位置を微調整しながら作りました」とライオン班班長で同大基礎デザイン学科1年の庄田梨乃さん(19)。ワニはわらを三つ編みにしてウロコの感じを出し、ウシは目と耳に麦わら帽子を使うなど、工夫を凝らした。

 大学では春に希望者を募り、チームを結成。デザインと模型を作る。それを元に地元業者が公園に角材で骨組みを設置。8月下旬の約1週間、学生たちは現地に泊まり込んで制作する。わらを扱いやすいように編んでまとめる手伝いをする金川マツノさん(84)は、朝晩の食事作りで宿舎にも通った。「わらでかぶれたと言うでの、薬あげたりしたな。孫みたいな感じだよ」

 学生と地元の人が協働して完成したわらアート。10月末まで展示予定だ。

(牧野祥)

 上堰潟公園

 干上がった上堰潟(うわせきがた)を掘削し、人造湖にして1999年に開園。約11ヘクタールの同湖を中心に、1周2キロの遊歩道、芝生広場などがあり、春には桜や菜の花、秋にはコスモスの花が咲き誇る。バーベキュー施設やローラー滑り台なども。9月初めに新潟市主催で開催された「わらアートまつり」(2日間)は、約4万7千人の来場者でにぎわった。問い合わせは市西蒲区役所産業観光課(0256・72・8454)。

 《アクセス》巻駅からバスで約20分、「布目」下車徒歩10分。


ぶらり発見

2015 サブル

 上堰潟公園から車で約10分のカーブドッチワイナリー(TEL0256・77・2288)では、数種のブドウを使った辛口の赤ワイン「2015 サブル」(写真、5400円)などを販売する。10月1日(日)午前10時~午後4時、周辺の四つのワイナリーと合同でワインフェスタを開催。試飲巡り(1080円)などが楽しめる。

 開湯300年の歴史をもつ岩室温泉は、巻駅の隣の岩室駅から車で約10分。江戸時代は北国(ほっこく)街道の湯治場として栄え、新潟の芸妓(げいぎ)発祥の地だという。宿泊施設は10軒。問い合わせは岩室温泉観光協会(82・5715)。

(2017年9月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

アートリップの新着記事

新着コラム