森万里子作(東京都港区) 滑らかな曲線が美しい弧を描いて上昇しては、緩やかに下りてくる。
高さ約5メートルのステンレスのポールが何本も空に伸び、その合間に直径60センチの丸い円がいくつも浮かぶ。下から見上げるとハスの葉のようにも見えるし、近未来の森に迷い込んだような気分にもなる。
世界遺産の白川郷に向かう観光客などが行き交う、北陸新幹線の新高岡駅。駅前の公園の一角にたたずむモニュメントは、新幹線の開業にあわせ、2015年に制作された。
作者の畠山耕治さん(60)は、出身地の高岡で創作を続ける金属作家。高岡は、江戸時代から続く鋳物の街。今も、日本中の寺の鐘や仏像、銅像の多くが高岡で作られている。地元ゆかりの鋳物で「金属の森」をイメージして作った。縦格子をモチーフにした駅舎の縦のラインに溶け込んで、素材が浮いて見えるように設計したという。
地面に埋め込まれた21個の金属のプレートは、地元の小学生たちがデザインしたもの。多くの人が関わることで親しみを持てる場所になればと、畠山さんが発案した。「駅は出会いの場所。恋人や若者が語り合えるように」と、ベンチも置いた。
夜行ってみると、昼とはがらりと雰囲気を変えていた。照明に照らされ、暗がりの中に、黄色い光がぼわんと浮かび上がっている。ベンチで過ごしたくなる季節も、もうすぐやってくる。
(土田ゆかり)
新高岡駅南口公園 飛騨(岐阜県北部)、越中(富山県)、能登(石川県北部)の「飛越能」がテーマ。モニュメントの反対側にあるせせらぎでは、岐阜県北部と富山県西部を流れる庄川が、飛騨から富山湾に流れる様子を表現した。飛越能の3エリアに分けて、それぞれサクラ、ツツジ、モミジ、クロマツなどを植えており、四季が感じられる。併設の飲食店「ネマルカフェ」は、ガラス張りの開放的な雰囲気。「座る・休む」の意味の富山弁から名付けた。 |
高岡の鋳物の歴史を知るなら、高岡駅から徒歩20分の高岡市鋳物資料館(TEL0766・28・6088)。製法を紹介し、用具や製品の展示をしている。炉に風を送るために使った足踏み式の人力送風機「たたら」を踏むこともできる。入館料210円。午前9時~午後4時半。(火)休み。
高岡市は、「ドラえもん」の作者、藤子・F・不二雄の出身地。市内の和菓子店では、ドラえもんの好物のどら焼きも種類豊富。不破福寿堂(TEL25・0028)は、新高岡駅から徒歩10分。「万葉どら焼」(216円)は、あんこと栗、大きめのぎゅうひ入り。午前8時半~午後7時半。第2または第3(火)休み。