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アートリップ

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最上壽之作(横浜市西区)

ビル風和らげる「大気」

日没後はライトアップされ、日中とは違う輝きを放つ=山本倫子撮影
日没後はライトアップされ、日中とは違う輝きを放つ=山本倫子撮影
日没後はライトアップされ、日中とは違う輝きを放つ=山本倫子撮影 眺める場所によって様々な形に見える=山本倫子撮影

 くねくねとしたジェットコースターのようにも見える巨大な造形物。その名も楽しげでユニークだ。幅32メートル奥行き20メートル高さ17メートル。横浜市のみなとみらい21地区にある複合商業施設「ランドマークプラザ」と「クイーンズスクエア横浜」の間に立つ。

 1991年の計画当時、周辺はまだ開発途中だった。公共の場に芸術的なものをという目的に加え、ビル風を緩和させる狙いもあったという。デザインした立体造形作家の最上壽之(ひさゆき)さん(80)は、「大気の流れを表した。感覚的なものを具体的に見せようと思った」と話す。周りは高層ビルなど直線的なものばかり。曲線を使おうと考えた。

 「200トンものステンレス鋼材を使った作品は珍しいでしょう。国内あちこちから買い集めたんです」と、各地のパブリックアートの設置に関わってきた装飾金物会社社長の鵜沼浩一さん(74)。デザインを元に設計から施工までを請け負った。模型による実験も行い、ビル風を和らげることを実証したという。

 94年の完成後、クイーンズスクエアができ、近くの街路樹も大きく育った。この地区は今では横浜を代表するスポットだ。

 「単なる置物ではなく、ビルを含めた空間を作った」。最上さんの言葉通り、変化し続ける街のなかで日常の風景の一部となって風を受け止めている。

(牧野祥)

 みなとみらい21地区

 横浜市の西区と中区にまたがる臨海地区で、横浜スタジアムの約70倍の広さ。二分されていた横浜都心部を一体化し、強化するため1980年代から再開発されてきた。オフィスビルや商業施設のほか、横浜美術館、歴史的建造物の赤レンガ倉庫などがある。公園や緑地も整備され、街づくりの一環で設置されたパブリックアート63点が点在する。

 《アクセス》 桜木町駅から徒歩8分、みなとみらい駅から徒歩3分。


ぶらり発見

「横浜捺染」を用いた手ぬぐい

 みなとみらい21地区や中華街などで自転車を借りられるベイバイク。45カ所ある貸し出し・返却場所で自由に乗り捨てできる。全400台が電動アシスト機能付き。料金は30分162円から。利用には会員登録が原則必要だが、登録不要の1日プランも。詳細は問い合わせを。問い合わせは運営事務局(0120・319015)。

 みなとみらい駅直結の商業施設「マークイズ みなとみらい」にある濱文様(TEL045・319・6351)には、伝統的な染色技法「横浜捺染(なっせん)」を用いた手ぬぐい(写真、864円から)約150柄がそろう。

(2016年4月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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