「わあ、きれい」。神戸市街の夜景が眼下に広がると、ロープウェーの車内で感嘆の声があがった。六甲山系・摩耶山からの夜景は、北海道の函館山、長崎の稲佐山と並ぶ「日本三大夜景」の一つ。山上の星の駅前にある展望広場は、手を伸ばせば星が掬(すく)えそうなほど星空が美しいことから、掬星(きくせい)台と名付けられた。今では夜景の光の粒が星にとって代わる。
摩耶ロープウェーは1955年に開業。大雨による土砂崩れや阪神・淡路大震災と大きな災害を乗り越えてきた。震災後は2001年に運行を再開。だが、赤字続きで11年度末の廃止が決定した。
「街の象徴的な存在がなくなるのは寂しい」。摩耶山再生の会事務局長の慈(うつみ)憲一さん(49)は、各市民団体とともに存続を願う要望書を神戸市に提出。赤字を市費で補塡(ほてん)する形で存続が決まった。一方で、慈さんらも集客のためにフリーマーケットなどの催しを駅周辺で毎月開催してきた。最近は台湾などを中心に、眺望目当てに訪れる外国人観光客の増加が追い風となっている。ここ数年の延べ乗客数の年間平均は約11万人だが、今年度は今月に入って、10万人を超えた。
星の駅へは市街地からケーブルカーとロープウェーを乗り継いで約20分。「ふらりと来られて季節の変化を感じられる」と駅舎2階でカフェを営む砂川孝則さん(36)。山全体が紅葉に包まれるのももうすぐだ。冬には澄んだ空気にきらめく夜景が待っている。
文 岩本恵美/撮影 桐本マチコ
摩耶ロープウェーは、神戸市内の「虹の駅」と「星の駅」の2駅を結ぶ856メートル。摩耶ケーブルとあわせて「まやビューライン」と呼ばれる。原則(火)休み。 星の駅から徒歩約10分の摩耶山天上寺(TEL078・861・2684)では、11月8日まで宝物展を開催。水墨画家・松本奉山の作品が並ぶ。拝観料500円(抹茶、菓子付き)。 ヒツジやヤギなどと触れ合える六甲山牧場(TEL891・0280)へは、星の駅からバスで約15分。乗馬体験、乳製品づくりなどが楽しめる(有料)。入場料500円。10月27日を除く、原則(火)休み。
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駅舎2階のショップ、monte702(TEL078・882・3580)では、地元企業の鈴木薄荷とコラボレーションした天然のハッカ油(10ミリリットル、350円)を販売中。水と混ぜてスプレーすれば、虫よけや汗の臭い対策にもなる優れもの。 |