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ひとえきがたり

美瑛(びえい)駅(北海道、JR富良野線)

景観を見守る町のシンボル

「丘のまちびえいヘルシーマラソン」で乳白色の美瑛駅舎前の本通りを走るランナーたち=6月14日午前、北海道美瑛町本町
「丘のまちびえいヘルシーマラソン」で乳白色の美瑛駅舎前の本通りを走るランナーたち=6月14日午前、北海道美瑛町本町
「丘のまちびえいヘルシーマラソン」で乳白色の美瑛駅舎前の本通りを走るランナーたち=6月14日午前、北海道美瑛町本町 地図

 美瑛軟石を積み上げた駅舎の前を、カラフルなウェアを着たランナーが駆け抜けた。美瑛町主催の28回目のマラソン大会が6月14日開かれ、全国から約6千人が参加。コースからは残雪をかぶった十勝岳や白樺(しらかば)並木、美瑛川が見え隠れする。20~30代の男女3人組はゴール後、「苦しい時、清流沿いのきれいな景色が目に入ってきて楽になった」と微笑した。

 線路と並行に走る駅前本通りもマラソンコースになった。沿道の100軒余の商店の外壁下部には美瑛軟石が張られ、急勾配の三角屋根、突き出し看板とともに統一感のあるたたずまいを見せる。

 木造だった駅舎は1952年、美瑛軟石を使って建て直された。軟石は大雪山の噴火で流出した火砕流が固まってできた凝灰岩で、70年ごろまで採掘された。駅舎は88年に改修され、町は翌年から18年かけて駅前の区画整理事業を実施。建築協定によって、町のシンボルである駅舎を中心に、周囲の自然と調和した美しい町並みが生まれた。町政策調整課の中山勝利さん(61)は「町と住民で知恵を出し合いました」と言う。

 いまや北海道有数の観光地。人口約1万人の町に昨年は約140万人の観光客が訪れた。6月26~28日、「世界で最も美しい村連合会」の世界大会が日本で初めて美瑛町で開かれた。大会運営が役場生活最後の大仕事となった中山さんは「これからも美瑛にたくさんの人に来てもらいたいですね」と話した。

文 永井美帆撮影 山本倫子 

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 JR富良野線は、旭川駅(北海道旭川市)と富良野駅(富良野市)を結ぶ54.8キロ。10月12日(月・祝)まで、観光列車富良野・美瑛ノロッコ号が運行する。

 美瑛観光にはレンタサイクルが便利。駅前の松浦商店(TEL0166・92・1415)では1時間200円から、電動自転車は1時間600円から。

 駅北西に広がる丘陵地にはマイルドセブンの丘、ケンとメリーの木、親子の木、北西の丘展望台など見どころが多い。駅前の観光案内所四季の情報館(TEL92・4378)で、観光スポットを示したロードマップがもらえる。

 

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青い池

 美瑛駅から南東約20キロにある美瑛川の堰堤(えんてい)が青い池をつくり、観光名所だ。近くの滝からわき出るアルミニウムを含んだ水と河川水が混ざり、太陽光が当たって青く見えるという。問い合わせは町観光協会(0166・92・4378)。

(2015年6月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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