青い客車が特徴の寝台特急「北斗星」(12両編成)。3月13日、定期運行を終えたが、まだ上野―札幌間を走っている。毎週約3往復、臨時運行をしている。ブルートレイン引退を惜しむファンは多く、チケットは運行日1カ月前の売り出し開始と同時に売りきれている。
チケットをキャンセル待ちで手に入れた。行き先は函館だ。北海道は、非電化区間があり、ディーゼル機関車が必要になる。函館駅は、それまで客車を引っ張ってきた電気機関車を切り離し、ディーゼル機関車を連結する作業が行われることで、ファンに知られている。
午後4時20分、上野駅を出発。2段ベッドが向かい合う「2段式B寝台」で家族連れと同室になった。「個室にはない味わいがありますね」「なんか昭和の旅みたい」。会話がはずんだ。
青函トンネルを抜けたときに目が覚めた。午前6時35分、函館駅着。乗客がカメラ片手にホームを駆けた。連結と切り離しの作業は、約5分で終わった。函館駅に勤務するJR北海道の谷目直紀さん(21)は、冬が大変だったと話す。雪で凍結した連結部分をトンカチでたたいたり、氷を溶かすスプレーを使ったりしたという。「こういう作業がなくなるのは寂しいですね」と谷目さん。臨時運行は札幌発8月22日で終わり、連結、切り離し作業も見られなくなる。来春開業の北海道新幹線は函館駅に停車せず、新函館北斗駅を発着する。
文 土田ゆかり/撮影 横関一浩
「北斗星」は、上野駅(東京都台東区)と札幌駅(札幌市)間の1214.7キロを結ぶ。 函館駅近くの函館朝市では、約250軒の店が旬の魚介などを売る。午前5時~午後2時ごろ。問い合わせは事務局(0138・22・7981)。 1988年まで青森―函館間を運航し、大動脈として活躍した青函連絡船の内部を見ることができる函館市青函連絡船記念館摩周丸(TEL27・2500)は、駅から徒歩4分。500円。 五稜郭タワー(TEL51・4785)は、函館駅や隣の五稜郭駅からバスで約20分。眼下には星形の五稜郭が見える。840円。
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北斗七星をイメージしたヘッドマークは、「北斗星」の文字の上に七つの星、下に小さなほうき星がある。ソファなどに座って車窓風景を楽しめるロビーカーの車体のマークは、大きなほうき星の周りに小さな星がちりばめられている=写真。 |