読んでたのしい、当たってうれしい。

ロゴ散歩

ポーラ美術館

ポーラ美術館

「睡蓮」と現代美術の共鳴 ヒントに

 箱根の自然の中にあり、印象派の作品を中心に約1万点を収蔵するポーラ美術館。近年は現代アートへの取り組みを強め、2020年にロゴマークを含むビジュアルアイデンティティー(VI)を刷新した。

 依頼を受けたグラフィックデザイナーの長嶋りかこさんは、19年に館を訪れた際に見た展示風景に大きなヒントを得た。

 モネの「睡蓮(すいれん)」と、現代美術家セレスト・ブルシエ=ムジュノの「クリナメンv.7」が対になっていた。後者は丸い人工池に白い陶磁器をいくつも浮かべた作品。「器のぶつかり合う音を自然そのもののように感じ、『睡蓮』と同じ景色のように共鳴していた」

 「塗り」と「線」の文字で英語の館名を表し、上下と左右対称に配置したロゴは、近代と現代、自然と人工など「異なるものの共鳴」の表現だ。「館で得られる体験を象徴する感覚」をデザインに込めたという。

 カギ括弧形の塗りと線の間を広げ、空いたスペースに文章や絵などを入れることもできる。副館長の松井孝さんは「変化を続ける美術館像と重なる」と話す。

 ◆ポーラ美術館 神奈川県箱根町仙石原小塚山1285(問い合わせは0460・84・2111)。午前9時~午後5時。定休日なし。展示替えによる臨時休館あり。

(2021年8月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

ロゴ散歩の新着記事

  • ふじのくに茶の都ミュージアム 稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。

  • 京都市京セラ美術館 国内2番目の公立美術館として1933年に開館、「帝冠様式」の建物で知られる京都市京セラ美術館。

  • 諸橋近代美術館 福島県・磐梯高原に1999年に開館した諸橋近代美術館。シュールレアリスムを代表する画家サルバドール・ダリのコレクションで知られる。

  • 山梨県立美術館 1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれている山梨県立美術館。開館時からの目玉、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~)の「種をまく人」をはじめ、バルビゾン派の作品や地元ゆかりの作品を数多く展示している。

新着コラム