1月25日公開の「小さいおうち」(山田洋次監督、中島京子原作)で、時代が許さなかった恋愛の主役となる時子を演じる。
昭和初期、東京郊外に立つ赤い屋根のモダンな家。玩具会社に勤める平井雅樹(片岡孝太郎)と時子夫妻のもとに、タキ(黒木華)が女中として奉公に来る。そこで起こった時子と板倉(吉岡秀隆)との「恋愛事件」。タキが心の中に封印し、60年後にひもとかれた「秘密」とは――。
「母べえ」「東京家族」など「家族の絆」を描いてきた山田監督が、「家族の秘密」に挑んだ新境地。「監督の挑戦に、私もご一緒させて頂きたいと思って臨みました」と柔らかな物腰で話す。優しく美しく、時にあでやかな色気を見せる女主人は、まさに自身の人柄を写したようにも感じさせる。
タイトルにもなった一軒家は、設計図から起こしてスタジオ内に建設された。戦前の洋館や文化住宅を参考に、ステンドグラスや蓄音機のある応接間も再現。「本当に可愛いおうち。『ああ今日も一日ここで過ごすんだな』って、幸せな気持ちになりました」
舞台は好景気から戦争に向かう日本。当時を知らないスタッフが大半の撮影現場は、試行錯誤の繰り返しだったという。帯の締め方や髪のかき上げ方など、監督は細かい仕草までこだわった。思いつきで脚本にないシーンが盛り込まれたこともあった。「監督の要望をどう形にするか。自分ができないことを知り、それを乗り越えることが、役者として貴重な経験になりました」と、しっかりした口調で振り返った。
取材・文/松崎聖子
撮影/篠塚ようこ
プロフィール
まつ・たかこ
1977年、東京都出身。舞台、映画など多方面で活躍。「告白」(2010年)が話題に。1月25日公開の映画「小さいおうち」に続き、2月から舞台「もっと泣いてよフラッパー」に出演予定。
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