2014年3月、東京・歌舞伎座のこけら落とし公演で坂東玉三郎と演じた「二人藤娘」が、兄・勘九郎出演の「日本振袖始 大蛇退治」と共に、全国31都道府県の47の映画館で「シネマ歌舞伎」としてよみがえる。
本来1人で舞う「藤娘」が「二人藤娘」として誕生したのは、玉三郎の発案だ。相手役に抜擢(ばってき)され、尊敬する玉三郎には「舞台では絶対に気を遣わないように」と言われながら稽古をつけてもらった。数えきれないほどのことを学び、そんな経験ができたことを「奇跡に近い」と振り返る。
シネマ歌舞伎とは、歌舞伎の舞台公演を高性能カメラで撮影し、スクリーンで上映するものだ。カメラは、衣装の細部はもちろん、俳優の息遣いまでもとらえる。2005年の初上映作品から21作目となる今作では、初めて舞台裏の化粧シーンなども盛り込んだ。舞台の「虚」と舞台裏の「実」を織り交ぜ、映像全体で一つのストーリーにしたいとの玉三郎の意向だったという。
シネマ歌舞伎は、父・十八世勘三郎の「野田版 鼠(ねずみ)小僧」から上映が始まった。「歌舞伎を愛し、より多くの方に見ていただきたいという皆の思いが形になった」一つの表現としてシネマ歌舞伎があるのだという。
歌舞伎の将来に危機感を抱いていた父からは常に、「歌舞伎を博物館行きにしてはいけない」と言われてきた。だから、伝統を守りながらも「今の時代の人たちにも楽しんで見てもらえるように努力していきたい」と強く思っている。
取材・文/土田ゆかり
撮影/篠塚ようこ
プロフィール
なかむら・しちのすけ
1983年東京都出身。歌舞伎俳優。舞台だけでなく、ドラマや映画でも活躍。2003年には映画「ラストサムライ」に出演。
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