炭水化物が好きですね。食べると頭が働くんです。パスタで好きなのは、ジェノベーゼ。どこのお店でもだいたいジェノベーゼを頼みます。

　でもこのお店では「シンプルなトマトソースのスパゲティ」ですね。去年の秋に友達に誘われて初めて行きました。１人で営業されているビストロで、雰囲気もいいんです。友達に薦められるまま、これを食べたら夢中になっちゃいましたね。シンプルなパスタってたくさんあると思うんですけど、ここのはずば抜けておいしくて。うまく言えませんが、何皿も食べたくなるような味です。２．２ミリと太めの麺で食べ応えがあるんですよ。タマネギやニンジンが入ったソースには、３種類のチーズも使っているそうです。

　子どもの頃に読んだ海外の児童文学では、出てくる食文化がすごく記憶に残りました。スウェーデンの作家リンドグレーンの本だとザリガニとかね。大人になって食べた時に「これか！」って結構感動するんですよ。そういう出合いが面白くて、私も食の描写にこだわってしまうのかもしれませんね。

◆東京都世田谷区代沢３の１２の１（ＴＥＬ０３・３４８７・６６６８）。
　１２００円（夜のみ）。
　正午～午後３時、６時～１０時半ごろラストオーダー（昼営業は（土）（日）（祝）のみ。夜は要予約）。
　原則（水）休み。

　ゆずき・あさこ　作家。
　１９８１年生まれ。著書に、直木賞の候補になった「ＢＵＴＴＥＲ（バター）」（新潮社）や、先月発売した「さらさら流る」（双葉社）など。