横須賀生まれの横浜育ちで、中華街は子どもの頃から身近な場所でした。二、三十年前から通う徳記は「とんそくそば」が有名だけど、やっぱり「ねぎそば」が定番です。

　味はすごくあっさりで、行儀良くおなかに収まる量。何より繊細で平べったい、この麺が印象的。かちっと裁断された角の断面にグッときます。

　平打ち麺が好きなんです。パスタならフェットチーネ、きしめんや、ひもかわうどん……。麺にはいろんな種類があるけれど、材料は同じ小麦。違いを決めるのは食感だと思います。「針のように細くありたい」とか「ごきっと剛直でありたい」とか、麺の主張がはっきりしてるとうれしくなる。

　小腹がすいたときにふと、醤油（しょうゆ）味のスープが絡んであめ色になった、あの麺の角が思い浮かぶんですよ。もうたまらず、お店に向かってしまいます。

◆横浜市中区山下町１６６（ＴＥＬ０４５・６８１・３９３６）。
　８２０円。
　正午～午後２時、５時半～８時（（日）（祝）昼は３時まで）。（水）休み。

　もりした・のりこ　エッセイスト。
　著書に「いとしいたべもの」（文春文庫）など。ブログエッセイ「おいしささ・え・ら」「ｔｏｍｏｎｉ　ｂｙ　ＥＰＡＲＫ」を更新中。