秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見て以来、アメリカに対する憧れを漠然と抱き続けてきました。高校生が陽気に歌い踊る「ハイスクール・ミュージカル」も好き。日本にはないキラキラした、典型的なアメリカの高校生の世界。
それと正反対の世界にいるのが、この作品の主人公です。片田舎に住むダサくてオタクな高校生、ナポレオン・ダイナマイト。日々、学校ではいじめられ、家では家族に振り回される。ある日、唯一の友達・ペドロが生徒会長に立候補することになり、選挙活動に協力することに。
ものすごい大事件や、華やかな大成功があるわけではないんです。大げさでもファンタジーでもない日常生活を描いているところに、僕自身の創作活動に通じるものを感じます。
登場人物は、ノーマルなアメリカ映画なら脇にいるような、さえない人たちです。かっこ悪いけれど、彼らなりに芯が通っている。その緩さとぶれなさがたまらなくいとおしくて、応援したくなりました。この絵では、ペドロを応援するために踊るナポレオンを客観的に描きました。観衆の表情は「しらけ」とも「のめり込み」とも捉えられる。これは、一度も笑顔を見せない主人公にリンクします。この不気味な空間は、主人公が支配しているんです。
主人公の表情も物語も、あまり抑揚がない。そんな表現でも、人の心を動かせる。日常を描く僕にとって、目標の作品でもあります。
聞き手・下島智子
監督・共同脚本=ジャレッド・ヘス
製作=米
出演=ジョン・ヘダー、ジョン・グリース、アーロン・ルーエルほか
ぱんとびすこ
インスタグラムのフォロワー32万人。6月8日から東京・池袋のパルコミュージアムで「パントビスコの本当にくだらない個展」を開催。 |