秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
僕はギャグ漫画家ですが、荒唐無稽な展開が多いという意味では、ホラーとギャグは紙一重の部分があると思います。この作品には、そういう要素がちりばめられていて大好きです。
サラリーマンがある朝目を覚ますと、ほおに金属のトゲが出ていて、次第に体が鉄に侵食されていきます。
初めて見たのは高校時代でしたが、話の意味がさっぱり分かりませんでした。彼がそうなってしまった理由は、金属への魅力にとりつかれた男「やつ」を車でひいてしまったことにあるようです。これまで4、5回は見ましたが、無理に理解しようとしなくてもいいのかなと思うようになりました。ストーリー以上に、この作品には何度も見たくなる魅力があるんです。
全編モノクロで、あらゆるところがかっこいい。車にひかれたことに対する復讐(ふくしゅう)なのか、サラリーマンの家に「やつ」がやって来て、街中でサラリーマンを追いかける場面が一番好きです。コマ撮りなんですけど、その疾走感が素晴らしい。最終的に多分2人が闘っているのであろう場面での、スピード感があるやりとりもいいですね。映像はスタイリッシュですけど、どこかギャグっぽくもあり、そのさじ加減が絶妙です。
この映画の影響なのか分かりませんが、僕自身ギャグを描いているつもりでも、追いかける展開だったり、なぜか血が出たりで、読者から怖いと言われることがあります。
聞き手・西村和美
監督・脚本・出演=塚本晋也
出演=田口トモロヲ、藤原京、叶岡伸、石橋蓮司ほか
ますだ・こうすけ
1976年愛知県生まれ。月刊誌「ジャンプスクエア」(集英社)にて「増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GB」を連載中。 |