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第72回ベルリン国際映画祭正式出品、フランスでまさかの大ヒットを記録したカンタン・デュピュー監督最新作『Incredible But True』(英題)を邦題『地下室のヘンな穴』とし、9月2日(金)より公開されることが決定した。
『事故物件』や映画化が決定した『変な家』など家系ホラーが注目される昨今。2022年、そんな家系映画の系譜に新たに名を連ねる突然変異のごときフランス映画が誕生した。
新居の地下には12時間進んで3日若返る奇妙な穴がありましたー。一瞬耳を疑う、微妙すぎるパワーを持った穴によって人生が一変していく夫婦の世にも奇妙な物語を描いた本作。第72回ベルリン国際映画祭正式出品されると「チャーリー・カウフマンやスパイク・ジョーンズに通じる」- THE GUARDIAN、「『パラサイト』の地下よりもっと奇妙」-VARIETY、「独創的で、生き生きとしていて、ちょっとばかばかしい」-THE HOLLYWOOD REPORTERと、映画祭を奇妙な笑いと興奮で包み込んだ。さらに6月に公開された本国では、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』『トップガン マーヴェリック』というハリウッド超大作に次ぐ、まさかの初登場3位、フランス映画ではNo.1大ヒットを記録(22/6/15-19 Box Office Mojo調べ)し、フランス中の観客を摩訶不思議な世界観の虜にした。
監督は“フランスのスパイク・ジョーンズ”の異名をとるカンタン・デュピュー。殺人タイヤの『ラバー』、鹿革男の狂気『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』などの異色作、怪作で知られ、新作ごとに同国でスマッシュヒットを記録している今、仏映画界で最も注目されるオンリーワンの鬼才だ。(ちなみにMr. Oizo 名義のフレンチ・エレクトロ・ミュージシャンとしても世界的に知られヨーロッパでは100万枚以上のセールスを記録している)そんなデュピュー監督がこの最新作で創造したのは、「時間軸が半日進み、肉体が3日若返る」という微妙すぎるパワーを持ったヘンな穴。この穴にハマったせいで、平凡な夫婦の、胸の奥底に封印していた欲望、衝動が呼び覚まされていく。ナンセンスなまでにバカバカしい設定が、あれよあれよという間に現実味を獲得していくストーリー展開に引き込まれずにいられない。しかも若さと老い、男女の性(ジェンダー/セックス)をめぐる風刺が盛り込まれたこの悲喜劇は、困ったことに観る者の共感さえも誘うのだ。
この摩訶不思議な最新作に、同国の名だたる人気俳優が集結。デュピュー監督作品の常連俳優アラン・シャバ、『ジュリアン』のレア・ドリュッケール、『彼は秘密の女ともだち』のアナイス・ドゥムースティエ。中でも主人公の上司を演じたブノワ・マジメルの怪演は見逃せない。かつて希代の美青年として一世を風靡したスター俳優が持ち前のイケメンぶりをかなぐり捨て男の滑稽さと悲哀を体現している。そして、なぜか新居に住み着き、主人公の行く手に出没する“ネコ”の助演にも注目。
誰もがポカンとせずにはいられない、浮世離れした突飛な設定で驚きと笑いを呼び起こしながら、人生や人間の普遍的な本質を巧みにあぶり出す独創性に満ち溢れた映像世界。一度覗き込んだらクセになること間違いなしの話題作がいよいよ公開される。
9月2日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他 全国公開