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アートリップ

窓 
北島一夫作(神奈川県秦野市)

波打つ模様が囲む風景

季節や天気、時間で波打つ模様の溝の影や、逆三角形の空間から見える景色が異なる=倉田貴志撮影
季節や天気、時間で波打つ模様の溝の影や、逆三角形の空間から見える景色が異なる=倉田貴志撮影
季節や天気、時間で波打つ模様の溝の影や、逆三角形の空間から見える景色が異なる=倉田貴志撮影 園内には岡本勝利の「集積Ⅰ」など12点の彫刻がある=倉田貴志撮影

 丹沢の山並みに囲まれ、水無川沿いに位置する「カルチャーパーク」。パーク内に点在する野外彫刻を見ながら歩いていくと、陸上競技場の脇に大きな門のような彫刻が現れた。

 高さ2・6メートル、幅2・3メートルで、素材は御影石。作品名の通り、逆三角形の隙間をのぞくと、川沿いの桜並木越しに、青々とした山々が見える。1987年に神奈川県で初めて全国規模で開かれた野外彫刻展「丹沢野外彫刻展」で入賞した作品の一つだ。「662点もの応募があり、彫刻界でも話題になりました」と、当時の担当者で現在は秦野市役所市民部専任参事の佐藤正男さん(58)は振り返る。

 作者は、彫刻家の北島一夫さん(76)。15年間イタリアで研鑽(けんさん)を積み、試行錯誤して開発したのが、波打つような曲線の模様だった。

 石の重量感を残すため、全体はシンプルな形にして、模様は表面だけに彫った。曲面を生かし、手触りをなめらかにすることで、あたたかみのある作品に仕上げた。北島さんは「自由に触ってみてほしい」という。

 彫刻展を機に、「彫刻愛し隊」も発足。市民ら4人がボランティアで、彫刻の簡易清掃や点検をする。隊員の戸口あや子さんは「手入れする度に、自分が住む街の彫刻に愛着が湧く。これからもできる限り続けていきたい」と力強く語った

(渋谷唯子)

カルチャーパーク

 約30万平方メートルの敷地に、中央運動公園をはじめ、文化会館、図書館、総合体育館などが点在する。バラ園もあり、10月中旬から11月上旬に秋バラが見頃を迎える。同パーク内にある中央こども公園は、秦野市にある不二家の工場にちなんで、今年5月から愛称が「ペコちゃん公園はだの」に。ペコちゃんのオブジェが設置され、話題を呼んでいる。遊具や広場があり、家族で楽しめる。

 《アクセス》秦野駅からバスで約10分。


ぶらり発見

手打そば 秦野砂場

 カルチャーパーク内の秦野市立図書館2階のはだの浮世絵ギャラリー(TEL0463・84・2792)では、1904点の浮世絵を順次入れ替え展示している。10月28日まで「明治150年 文明開化の浮世絵」展を開催。午前9時~午後7時((火)(祝)は5時まで)。(月)((祝)の場合は翌日)休み。

 同パークから徒歩10分の手打そば 秦野砂場(TEL82・5715)では、一番粉を使用した「せいろそば」=写真=(864円)が味わえる。11月末には自家栽培のそばも販売する。午前10時半~午後9時(ラストオーダーは15分前まで)、(火)休み。

(2018年9月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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