滋賀県の面積の6分の1を占める日本最大の湖、琵琶湖。大きいだけではなく、約400万年の歴史を持つ世界でも有数の古代湖と知っていましたか? 数々の固有種を育み、人々の暮らしに潤いを与える琵琶湖について学び、湖上の島々を巡る船旅に参加してきました。
取材・文/河瀬久美
生い立ちを知り、主に会う
琵琶湖・烏丸半島にある、滋賀県立琵琶湖博物館にやって来た。
まずは湖の「生い立ち」を知る。約400万年前に誕生したといわれる琵琶湖は世界有数の古代湖。太古の湖周辺には、ゾウが住んでいたそうだ。
長い歴史は数々の生き物を育んできた。体長1メートルを超す個体もある「琵琶湖の主」ビワコオオナマズなどの固有種を含む約150種の展示室は、水族館のように楽しめる。
人との関わりや湖を取り巻く環境についても学び、気分は琵琶湖通。しかし学芸員の里口保文さんは「真の博物館は琵琶湖そのものです」。
湖上の島を巡る8時間の船旅
午前9時半、約50人の乗客を乗せた観光船が、大津港を出発した。湖上の島々を巡る船旅の始まりだ。
船は風を切って進み、1時間と少しで日本の淡水湖で唯一の有人島、沖島に上陸。漁村の狭い路地を散策していると、家の中からしょうゆの香りやテレビの音が。ほんの少し、島の生活に触れた気がした。
船に戻ると弁当の時間。ほろ苦い小鮎の天ぷらなど特産品を堪能していると突然、湖上に四つの岩がぽっかり。湖の真ん中に浮かぶ「沖の白石」は、さしずめ琵琶湖のへそか。
竹生島(ちくぶじま)が近づいてきた。西国三十三所の札所、宝厳寺や豊臣秀吉ゆかりの都久夫須麻(つくぶすま)神社がある。上空に雨上がりのもやがかかり神秘的だ。上陸後、2枚の「かわらけ」(土器)に名前と願い事を書いて、神社の建物内から外の鳥居に向かって投げる「かわらけ投げ」に挑戦。2枚とも鳥居をくぐると願いがかなうというが、かすりもしなかった。
湖北の長浜港を経て復路へ。見る角度により趣が異なる多景島の散策を終えると旅も終盤。湖岸に生える植物を使ったヨシ笛の船内コンサートで締めくくった。午後5時40分、大津港に帰港。湖上での8時間で、パワーをもらった気がした。
滋賀県立琵琶湖博物館 750円、高・大学生400円。午前9時半~午後5時(入館は30分前まで)。休日を除く月曜休館。草津駅からバスで25分前後。問い合わせは(077・568・4811)。 ぐるっと びわ湖島めぐり 11月末までの土、日、祝休日運航。往復コース8950円、中高大学生7780円、小学生以下6020円(弁当代、拝観料、入島料込み)。天候状況で運航内容やダイヤの変更あり。問い合わせは琵琶湖汽船予約センター(524・5000)。 |
琵琶湖の主がぬいぐるみに
県立琵琶湖博物館のミュージアムショップで販売しているビワコオオナマズのぬいぐるみ。全長110センチメートルの「ナマズLL」(2万8000円)は年3個くらい売れるそう。「同S」(928円)、「同ボールチェーン」(432円)。問い合わせはミュージアムショップ おいでや(568・4846)。